今日向かったのは「大吉そば」、場所は目黒にある。無論、最寄り駅はJR山手線「目黒」駅になるのだが、立ち食いそば店にしては珍しく、駅から遠い。西口から目黒通りをつたって歩き、山手通りに出たら右(北側)にさらに少し進む。
最寄り駅から15分先にある小さなお店
徒歩で15分前後かかるだろうか。目黒と中目黒を結ぶ大通り沿いとあって、多少駅から離れても飲食店が散見されるのはさすが都会だなと思う。余談だが、すぐ近くにはあの「ラーメン二郎」の目黒店もある。
小さな献立看板と、どこにでもある「営業中」の提灯。黄色いのれんは出ているが、何も書かれていない。あまり商売っ気がないようにも見える。早速店内に入る。立ち食いカウンターを挟んで厨房のあるわずかなスペース。人の後ろを通るのがやっとなくらいだ。
狭い厨房に大将がひとり。先客もひとり。訪問したのは平日のランチタイム13時頃だったが、空いている。やはり立地の影響もあるのかもしれない。小さい券売機が入って左手側にある。かけそばから天ぷらそば、きつねそばなどのそばメニューと、ミニカレーや玉子かけごはんのセット・単品メニューが並ぶが、数は多くない。
メニューが多いと迷いがちだが、少なければ少ないで「厳選(?)された中で本当にこれでいいのか」という気持ちになって、悩む。その挙句、注文したのは「ちくわ天そば」(税込410円)だ。
ダシも麺もしっかり主張
カウンターに食券を出す。「そばでいいですか?」と聞かれたので、うどんもあるのだろう。開けっ放しの店内は、鍋の湯気も相まって暑い。程なくして相客が離席。ひとり貸切状態の中、そばを待つことになる。2分弱で、ちくわ天そば完成。えんじ色の薄手の丼を手渡される。
ちくわ天は一本丸ごとを二つ割りにしており、丼からはみ出るボリュームだ。ダシが強く香るツユはパンチがあり、小麦多めの麺は食べ応えがある。しっかりした正統派の一杯で、正直なところかなりうまいと思う。隠れた名店、というのは言い過ぎだろうか。地味な風体、狭い店内、少ないメニューにうまいそば。相当渋い。
そばを待つ間、カウンターや壁など色々見たが、夕方頃からは酒とツマミでちょい飲みができるらしい。もちろんそばも食せるとのこと。近所にこういう店があると、本当に幸せだろう。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。