品川区の「街道めん工房」に行ってきた。最寄りは京急線「北品川」駅。北品川なのに、品川駅の南にある。調べてみると、どうやら旧東海道・品川宿の北だから、とのこと。この店のある「北品川本通り商店会」という商店街も、宿場町だった頃のにぎわいに基づいており、品川駅徒歩圏内とは思えない、のんびりした昔ながらの商店が立ち並んでおり、その中には銭湯もある。
7時オープン! さっと食べて出勤も
街道めん工房の開店は7時から。出勤前のビジネスマンや、近所の商店で働く人々をターゲットにしているのだろうか。店頭には、ひとつずつ写真に撮られたメニューが、几帳面に並んでいる。訪問したのは、朝の慌ただしさが落ち着いた頃、10時くらいだった。
のれんをかき分けて引き戸を開けると、店内は暗い。客は誰もおらず、自分に気づいた大将が「いらっしゃい! 」の声とともに電気をつけた。アイドルタイムは省エネモードだったらしい。レイアウトは、正面に厨房カウンター、揚げ物バットとセルフの給水機付き。両側にイス付きのカウンター。キャパはちょうど10人くらいか。
並んだ天ぷらを見ながら口頭でオーダーを通す。少し迷ったが、気になった「たまねぎ天そば」(税込350円)にした。1分ほどで、そばが完成。代金と引き換える。
たまねぎ天効果でさらに甘く
たまねぎ天、言ってしまえばオニオンリングをみたいなものなのだが、なかなか単品で出会う機会は少ない。かき揚げのおいしさなんて、ほとんど玉ねぎの甘みじゃないか。海老なんてなくても、天ぷらとして十分成立することをあらためて教えてくれる。
麺はやや太めで、やわらかい。ツユも元々甘めだが、たまねぎ天効果でさらに甘く感じる。角張ったところのない、丸く優しいい味わいで、なるほど、朝にピッタリの味かもしれないと思った。
ちなみにこちら街道めん工房、夕方からは缶ピールと天ぷらで一杯飲むこともできるらしい。その気軽さ、まるで大人の駄菓子屋のような感じ。近所の人が羨ましい。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。