多くの人でにぎわうJR東京駅。特にランチタイムは、平日でも人、人、人。デパ地下のお弁当エリアや東京駅一番街の飲食店は、和洋中・日本全国の味を、余すところなく重箱に詰め込んだように並んでいて、どんなニーズにも応えられる懐の深さがある。前回の「京橋 恵み屋」の帰り道、満腹であったはずが、気づけば立ち食いそばを探していた。「越後そば」(東京都千代田)である。
東京駅から直行! 交通系ICカードで購入
越後そばは、駅コンコースや改札前などに出店している立ち食いそばチェーンのひとつ。北千住や亀有、東陽町や練馬など都内に数店舗展開している。当店は東京駅一番街の端の方にあり、外観もやや目立たないが、それでもお昼時はビジネスマンを中心に列を成す。 先客も含め、10人はいただろうか。システムは、食券機(もちろんSuica対応)で購入、すぐ隣でそばを受け取り、右手奥の飲食スペース(着席、立ち食い両対応)の方へ入って食べる。
食券機を見ると、かき揚げ天やわかめ、きつね、月見、たぬき……おにぎりやいなり、カレーライスまでとおなじみのメニューに加え、注文カウンターには、手書きで絵の入った黒板が出ており、「薬味そば」(税込620円)をプッシュしていた。そこまで言うなら、と注文。
サラダ感覚で食べられるボリュームの1杯
これが大正解だった。冷たくしめられたそばの上には、大葉・ミョウガ・カイワレ・ミツバ、それにネギとワカメが山盛りに。620円は少し割高かな、とも思ったが、立地とこの具材のボリュームを考えるとむしろお得かもしれない。
しっかりコシのある麺と一緒に頬張ると、シャキシャキした食感とツンと鼻に抜ける香りがたまらない。ある種、サラダ感覚のそばでもあり、口当たりもいい。
これからの暑い季節、食欲のない日の夏バテ対策に、ピッタリの一杯。東京駅の数多の誘惑を振り切って食べに向かう価値のあるそばである。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。