第2回の「福そば」に続き、またしても人形町の立ち食いそばである。それだけこの近辺は激戦区であり、ハイレベルな飲食店が多い。今回の「きうち」(東京都中央区)は東京メトロ日比谷線の人形町駅、A6出口を出て1~2分の、大通りに面した所にある。

「とりそば」(税込450円)は見た目も豪華

柚子胡椒で味の変化を楽しむ

白と黒のシックな店構え。食券機は店内外に1台ずつある。入ると、右手が厨房のカウンター、左手はスツールが7脚ほど置かれたカウンターになっており、立っても座っても食べられる。細長い店内だが、ガラス張りになっているので、明るく閉塞感がない。奥にはセルフの給水器と食器返却棚。

厨房に食券を渡すと、「蕎麦をゆでるので3分お待ちください! 」と元気な声がかかる。今回注文したのは、「とりそば」(税込450円)。水を飲みつつしばし待つ。「お待たせしました! 」の声でお出ましだ。

ゴロゴロとした鶏もも肉が7~8個は入った豪華な一杯。噛みしめるほどに肉の旨みがあふれてくる。麺はややコシが強く、ほんのりとした香りも味わえる。他にも、わかめ、刻みネギ、柚子皮が添えられており、さらに別添で柚子胡椒がたっぷりと。

柚子胡椒は一度に溶かさず、食べる分だけ少しずつ使うと辛味が持ちやすい。柚子の爽やかな香りと、柚子胡椒の辛味が溶け出したつゆが絶妙。値段を考えると、立ち食いそばのレベルをひとつ頭抜けている印象だ。

人形町駅から徒歩1~2分先。白と黒のオシャレなお店

オープンしてから数年、比較的新しい店とも言えるが、この場所で戦い抜いてきた実力を味わえる店でもあった。

※記事中の情報は2016年3月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。