読者の中にはご覧いただいている方もいるかもしれないが、同じマイナビニュース内で「本日は銭湯日和」という連載もさせていただいている。せっかくだから一石二鳥を狙うか(交通費も節約できるし)、という思いもあり、銭湯でひとっ風呂浴びた後、もしくは前に立ち食いそば探訪をすることが多い。直近の取材銭湯が御徒町の「燕湯」だったので、付近で探索。結果、少し離れたところになったが、「アヅマ」に決めた。
単品メニューまで充実のラインナップ
決めた、というのは正確ではない。正しくは「目に入った」だ。JR御徒町駅を東に真っすぐ。清洲橋通りと交差する元浅草一丁目交差点(ちょうど地下鉄の新御徒町駅の真上)に、ドドンと現れる「スタンド そば うどん アヅマ」。有名チェーン店でも、なかなかここまでの存在感はない。
エンジ色の暖簾と引き戸は、昭和の大衆食堂を彷彿ともさせる。角地の好立地でありながら、店舗面積は広く、入り口は3カ所。店内は大きなL字型になっており、「スタンド」とうたっておきながらも着席スタイルのそば屋である。
お昼時とあってか、店内は盛況。店員も客も多い。壁には手書きの黄色短冊メニューが所狭しと並ぶ。そばうどんを中心に、天ぷら各種、丼、カレー、納豆やみそ汁の単品メニューまで充実の品ぞろえ。ああ、やはりここは食堂なんだ、と思った。
空席に着席、口頭で注文。いろいろ目移りしつつ頼んだのは「わかめそば」(税込470円)に「メンチ」(税込150円)トッピングという、なんともバランスの悪い一杯。好きなものを頼んだだけ、という組み合わせである。
山盛りのわかめ&大根おろしにネギも入れ放題
すぐに別皿でメンチとソースが出てくる。ご飯物のおかずとして食べる人も多いからだろうか。追っかけでわかめそばが着丼。代金引換で620円。トッピングしたとはいえ、安い方ではないが、それも納得。
麺を覆い尽くすほど大量に盛られたわかめの中心には大根おろしが山盛りに。それに旨味たっぷり、甘いメンチを乗せたわけだからこれはしょうがない。さらにネギはセルフで入れ放題、刻み七味を少し散らして、見た目のバランスも想像よりずっとよくなった。
ツユはややしょっぱめだが、大根おろしでまろやかに。味も量も大満足の一杯。働く大人が午後の英気を養うために食らうそばといったところだろうか。思わず追加で米も頼みたくなってしまった。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。