東急池上線と東急大井町線が乗り入れる旗の台駅。駅前を中心に商店が多く立ち並び、また、お隣の荏原町駅までも歩いて10分足らずと散歩にもピッタリの場所。都心からも五反田駅で乗り換えてすぐ。住み心地の良さそうな場所だ。
今回訪れたのは、その旗の台駅東口すぐ、歩いて10秒くらいのところにある「だし家」だ。「うどん 丼 そば」「早くて安くて美味・店」の看板、所狭しと貼られたメニュー。駅から降り立った人をひとり残らず吸い寄せようとする力強さを感じる。
メニューは短冊から直感でチョイス
引き戸から中に入ると、狭いL字のカウンター。中に厨房。店員は2人。客席は10人入るかどうかくらいか。平日13時過ぎで相客は3~4人だったが、それなりに窮屈さは感じる。それでもオフィス街から一本外れているので、ランチタイムでも行列で入れないようなことはないと思う。
ご婦人のお客が2人いらっしゃったのも土地柄なのか。こちらの店は口頭注文。ズラッと貼られた短冊メニューから直感的に選ぶ。こういうところであまりモタモタしたくはない。今日は「肉天玉そば」(税込480円)を頼む。
ネギもカエシ醤油もお好みで
待つこと1分弱。代金引換式。なんだかあまりイメージのつかないまま注文したが、ご覧の豪華な一杯だった。豚バラ肉にかき揚げ、生玉子が乗っている。どこから箸をつけていいか迷う。ザルに入ったネギはカウンターに置いてあり、セルフ。ただし「ネギと七味は少量をおすすめします」との張り紙もあることだし、節度をわきまえた量にしておこう。
ツユはやや甘め。細い麺とくずした生玉子がよく絡む。かき揚げはしんなりした揚げ置きだが、ダシにコクをプラス。肉の歯ざわりもうれしい。また、テーブルには「味の薄い人のために」と、カエシ醤油が置かれていた。個人的にはこれくらいでちょうど良かったので、未使用。むしろ、最後の一滴まで飲み干してしまった。
店には焼肉丼やしょうが天丼、カレーや、納豆定食、トロロ芋定食などの朝定食メニューもあり、どちらかと言えば立ち食いそばより食堂なのかもしれない。そうこうしている内に、地元で働いている男たちがぞろぞろと入ってくる。あっという間に店内は満員になった。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。