JR新橋駅の烏森口にそびえ立つ「新橋駅前ビル」。昭和41年(1966)、竣工当時の雰囲気をそのままに残す"昭和"のビルだ。今回紹介する「おくとね」(東京都港区)は、こちらの地下1階で肩を寄せ合う店舗のひとつである。

「まいたけ天そば」(税込450円)はボリューム満点

丼からはみ出さんばかりの大きさ

この駅前のビルは駅から直結、地上に出ることはない。隣はうなぎ屋。赤ちょうちんもいくつかぶら下がっている。蛍光灯に照らされたこのノスタルジックなフロアは、サラリーマンの胃袋を満たす店がひしめき合っている。

短い暖簾をくぐると、両側にカウンターと、中央にもテーブルがひとつ。7~8人程のキャパだろうか、全席立ち食いスペースになっている。壁の上にはテレビが一台。それを見ながら、皆黙々とそばをすすっている。入り口脇で食券を購入、奥のカウンターで店主に渡す。

注文したのは、名物の「まいたけ天そば」(税込450円)。待つこと1分少々。丼からはみ出さんばかりの巨大なまいたけ天に注目されたい。場所柄、お客の回転も重要なためか、揚げたてサクサクというわけにはいかないが、この天ぷらを割り箸でパキパキと折り、アツアツのつゆにひたして、柔らかくしながら食べるのがうまい。

舞茸がふんわりと香る。溶けて"たぬきそば"状態になった天かすは、ややコシのある中太麺によく絡みつく。ボリュームも申し分なし。

「おくとね」は「新橋駅前ビル」の地下に店をかまえている

開店は朝7時から。朝食がわりに立ち寄ってみるのも面白い。

※記事中の情報は2016年3月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。