皇居のお堀まで4ブロック。東京のど真ん中にある"SOBA STAND"が今回の店「そばうさ」である。東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅2番出口を上がってすぐ。路面ではなく、少し分かりづらいが外に看板が出ている。ただ、これも立ち食いそば屋らしくないため見過ごしてしまうかもしれない。

「バジル冷そば」(税込850円)

立ち食いそばと一線を画すオルタナティヴなBGM

ビルとビルの間を少し入ったところに入り口がある。白で統一された外観および店内は、アメリカンで蕎麦屋というより完全にカフェ。オシャレ雑貨の店に見間違う人もいるだろう。

ドアをくぐると、白熱灯で照らされたムーディーな空間。午前中だというのに夕方っぽい雰囲気だ。店内はオールスタンド席。スピーカーからはオルタナティヴなBGMが流れ、壁には映画か音楽かよく分からないがとにかくサマになるポスターが飾られている。とにかく焦らずに食券機の前に立つ。

そばうさの名物は「スタミナ冷そば」。この連載でも紹介した、いわゆる肉そば系だ。そしてもうひとつ、この店にしかないオンリーワンメニュー、それが「バジル冷そば」(税込850円)である。今回はこちらを注文することにする。厨房のカフェオーナーっぽい店主に渡すと「1番でお呼びします」と告げられる。幸い開店直後で、待ち客は自分のみだったが、昼時は大混雑すると聞く。ちゃんと自分の番号は覚えておこう。

この華やかさは冷やし中華級

普段通りセルフの水を取り、待つこと3~4分。見たことのない丼が現れた。スクランブルドエッグと厚切りベーコン、たっぷりの刻みネギとレモンが極太のそばの上にトッピング。色合いはまるで冷やし中華のよう。

これをバジルたっぷり、アクセントでミニトマトが浮かべられたつけダレでいただく。ドレッシングソースのような感覚だが、パンチの効いた濃いめの味付けだ。麺は肉そばよろしく、ガシガシと歯ごたえのある太麺で、個性的な具材とも新発見の連続の味。うまい!

「そばうさ」へは東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」より徒歩1分

850円という価格を考えると、立ち食いそばの魅力の「気軽さ」はもはや失っているが、それを補って余りある魅力が味にある。バジルそばは冷だけでなく温もあるとのこと。ぜひ再訪して試してみたい。

※記事中の情報は2016年10月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。