東京駅駅前の京橋エリア。高層オフィスビルがにょきにょきと立ち並び、方向感覚が鈍ってしまう街だ。銀座や日本橋もそうだが、道が碁盤の目のようになっているのでなおのこと迷いづらい。今回紹介するのは、京橋の「わんぱく」である。

「ごぼう天そば」(税込350円)

駅チカなのに迷いやすい外観

東京メトロ銀座線「京橋」駅から徒歩1分。東京駅や銀座一丁目駅からももちろん近い。実は2度目の訪問なのだが、迷った。というのも、周囲の環境に似つかわしくない、長い暖簾(のれん)がはためいているだけの外観。大きな文字で存在をアピールすることはなく、近づけば手書きのメニューが掲げられている程度。これは見過ごしてしまいがちな入り口だ。

暖簾をくぐる。店内は立ち食いカウンターのみで、5~6人入ればぎゅうぎゅうだろう。左手が厨房側で、ショーケースの中に天ぷらが並ぶ。こちらから在庫を確認し、口頭で注文、代金引換形式。前回訪問時はゲソ天をいただいたので、今回は趣向を変えて「ごぼう天そば」(税込350円)を注文。

江戸を主張する黒いつゆ

水をくみ、待つこと1分ほど。黒いつゆに灰色のそば、茶色のごぼう天。パット見はものすごく地味だ。そんな見た目に反して味はものすごく濃厚。ダシにまで染み込んだごぼうの香り。ゴリゴリとしたごぼうならではの歯ざわり。江戸を主張するかのごとく黒いつゆは、味も濃い目で、麺とよく絡んでいる。つゆと天ぷら、どちらも主張が強くて、見た目よりもにぎやかな味わいを感じる。

「わんぱく」へは京橋駅から徒歩1分

ごぼう天というと福岡のソウルフード「ごぼ天うどん」がおなじみだが、東京ど真ん中のごぼう天そばも負けてはいない、とまでは言わないもののなかなか健闘している。ちなみにテイクアウトも可。このあたりで働いていないと難しいだろうが。

※記事中の情報は2016年10月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。