日本の中枢を担う省庁が集中する霞ヶ関。今回の店は、東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅徒歩1分、もちろん霞ヶ関駅や内幸町駅、新橋駅からも徒歩圏内の「峠そば」である。
無骨で"まちの食堂"のような佇まい
飲食店やドラッグストア、理髪店などが立ち並ぶ、細くて背の低いビルが密集したエリアで、峠そばもその雑多な景色に馴染みすぎている。「そばうどん」の白い暖簾と看板に、控えめなショーケース。無骨で飾り気のない、まちの食堂のような佇まいも、渋い。
暖簾をくぐると、右側に厨房。左側が立ち食いスペース(丸イスもいくつかあり)になっている。店内は広くないが、訪問時の9時には客は入っていなかった。もっと早い時間に朝食として、または定刻のランチタイムには混雑するのだろう。
桜えび香るかき揚げとともに
峠そばは口頭注文方式。ここはシンプルに「かき揚げそば」(税込380円)を注文。「2分くらいお待ちください」と言われる。峠そばではそばうどんはもちろんのこと、かけ(温)・ぶっかけ(冷・丼で食べる)・もり(冷たい汁につけて食べる)から選ぶことができる。
きっかり待つこと2分、完成。厨房カウンターには無料のおかかが丼に入って置かれているのでいただく。かつおだしをとった後のものだろう、これを入れると入れないのでは味に大きな違いが出る。かき揚げは薄く、やや小麦粉っぽいが、桜えびの風味がしっかり味わえる。
ゆでたての麺は細麺でほんのりコシがあり、濃すぎないダシによく絡んでいる。先ほど投入したおかかも、さらにコクを深めるナイスアシスト。トータルの完成度の高い一杯である。
麺を食べ終わる頃には、スーツ姿のサラリーマン客が来店。こなれた風に注文していた。朝営業も、立ち食いそばの魅力のひとつ。ライフスタイルに合わせて使い分けたい。
※記事中の情報は2016年9月取材時のもの
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。