この日、東京はひさしぶりに30度を超えた晴天。まさに「残暑」というほかない天候で、夏の疲れもそろそろ限界。体力も食欲も落ちるこの季節だからこそ、しっかり動いてしっかり食べたい。毎朝のウォーキングの後、向かったのは馬喰横山にある「みまつ」。
自分の場合は、東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅から7~8分歩いたが、都営新宿線「馬喰横山」駅からは徒歩1分のところにある。10年以上前の会社員時代、このあたりのクライアントがいたので何度か足を運んだことがあるが、「素人お断り」の張り紙も見かけるこの問屋街、個人的な馴染みは薄い。帽子にTシャツ、短パン、サンダルで歩いているのは自分だけのような気もしてくる。
レアなメニューも揃う豊富な品揃え
「みまつ」は朝から18時まで。土曜は半ドン、日曜日は休み。この「働く街」に合わせた営業時間といえる。「生そば」「うどん」のほか、「カレーライス」「ラーメン」の字も躍る。大衆食堂風の白のれんをくぐり店内に入ると、両側に立ち食いカウンター、正面に厨房があるシンプルなつくり。流れるラジオは文化放送で、10時半、先客はなし。2人の女性店員。壁にはたくさんの短冊状のお品書き。そば、うどんのメニューはもちろん、ご飯物、ラーメン、期間限定メニュー、それがプリントだったり手書きだったり写真入りだったり。統一感はないが、賑やかで良い。「磯のりそば」や「ひやむぎ」、「冷し五目」などのレアメニューにも惹かれたが、初訪問ということで「ラーメン・小カレー」(660円)を注文。やや置きにいった。
馬喰横山で働く人たちの「学食」
セルフで水を2杯飲み、3分ほど待って、完成。代金は受渡し時に支払う。絵に描いたようなラーメンと、これまた絵に描いたようなカレー。平成も終わり、令和になって数ヶ月というのに都心と言っても差し支えないこの地で、この食にありつける感動。ラーメンには胡椒をたっぷりかける。「カレーは飲み物だ」という使い古されたフレーズがあるが、このカレーはまさにそれ。今回は、味について多くは語るまい。あえて言うなら、高校の学食で毎日食べていた味。決して悪い意味で捉えることなかれ。食事は元気の素。たくさん食べて暑いこの時期を乗り切る。そんな今にぴったりのセットだった。
水を飲み干し、大きな声で「ごちそうさま」と店を後にする。グルメブログやマスメディアで目立つタイプの店ではないだろうが、この店は確かに馬喰横山で働く人を支えている、ある種の「学食」であり続けているのだろうと思う。