東京・中野。南北には商店街、近年では中野セントラルパークと呼ばれる大きな公園ができたり、大学も移転してきたり。中野ブロードウェイは今も昔もサブカルチャーのメッカであり、最近は秋葉原よりも中野、なんて声も聞く。今回のそばは、JR中央・総武線の中野駅北口降りてすぐ。中野サンモール商店街入口脇にある「田舎そば かさい」(東京都中野区)である。
大盛りでも380円という魅惑の一杯
黄色い看板に黄色い庇、白いのれんがなびく、吹きさらしの路麺店。戸などはなく、おもむろに近づいて入店する。店内は5~6人でもういっぱい。注文するやいなや、目の前にそばが出される。今回注文したのは「田舎そば」(300円)。いわゆるかけそばのことである。大盛りで380円、ハーフだと210円で、そばとうどんも選べる。お金は代金引換式。
真っ黒なつゆ、太い麺、そして薬味のネギとショウガ。この3つがかさいの特徴だ。そばはやはり、細い麺の方が出会う確率がずっと高い。うどんほど太くはないものの、やはり新鮮に感じるこちらの麺は、がっしりした歯ごたえ(コシではない)があり、しっかり腹にたまる。
つゆは見た目通りややしょっぱめだが、そこで登場するのがカウンターに置かれたおろしショウガだ。店内の貼り紙にしたがって、小さじ2杯ほどで十分である。すると驚くほどにさっぱりしたつゆに早変わり。塩味を抑え旨味が際立ち、清涼感のある口当たりに早変わりする。
「安かろう」の味でとどまることなく、ここでしか味わえない一杯を提供してくれるのがかさい。一度食べたらやみつきになること間違いなし。
※記事中の情報は2016年5月取材時のもの
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。