この日は代々木の立ち食いそばへ。JR山手線「代々木」駅、東口改札を出てすぐ目の前の「吉そば」である。24時間営業の同店は、渋谷区や目黒区、品川区など都心を中心に14店舗で展開するチェーン店。

  • 「紅天そば」(440円)

ちなみに今回紹介するのは代々木駅前店だが、お隣の千駄ヶ谷には代々木店があったりもする。代々木には、とりわけ専門学校や予備校が多く、『若者メシ』の店も乱立している。無論立ち食いそばも例外ではなく、道を挟んで2軒隣には「名代富士そば」も。街全体が若々しいエネルギーに包まれていて、個人的にも好きな場所だ。

厨房前に並ぶ自家製天ぷらが食欲をそそる

入口には券売機(交通系ICカード利用可)。自動ドアを入った店内にももう1台ある。かき揚げ、ごぼう天やちくわ天、いか天などからわかめ、とろろ昆布、牛肉など具の種類は豊富。またかき揚げ丼やえび天丼などのご飯物も充実している。券売機の前で悩んでしまう、という貴方は、公式ホームページに全店の券売機画像が掲載されているので、事前に下調べするもよし。さて、注文したメニューはといえば期間限定のマークがついていた「紅天そば」(440円)だ。チケットを持って中に進む。

正面が厨房と受け渡し口。厨房のバットには「自家製天ぷら」として揚げ置きの天ぷらがズラッと並び、それぞれ野菜の産地も手書きで明記されていた。右側が着席カウンター、左側が立ち食いカウンター。10人ちょっとのキャパの小さな店である。平日の14時過ぎ、相客は4人。セルフの水を汲んで待つ。

野菜の旨味が際立つ「紅天そば」

完成まで約1分。名前からして真っ赤な紅生姜天を想像していたが、そこまで単純なものではなく、玉ねぎと紅生姜をミックスしたかき揚げのようだった。一口食べると、紅生姜の酸味は控えめで、その分玉ねぎの甘みがグンと際立っている。

  • JR山手線「代々木」駅、東口改札を出てすぐ目の前に立地する「吉そば」

ツユは化学調味料、着色料、甘味料を使っていないこだわりの無添加で、こちらもじんわりと甘い。そばはややつなぎが多めか。そば特有の角がなく、このツユによく絡んでいる。盛りは代々木という街にしては上品か。昼時はいなりずしや丼とセットでいただきたい。 同じく期間限定の商品に「しめじそば」というものもあった。どちらも期間限定にしてはなかなか渋い具材のセレクト。こちらのそばの味は、また吉そばの他店にて味わってみたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。