移動中の小腹を満たしてくれるのは、いつだって立ち食いそば。ゆっくり腰を据える店ではないから、その分回転もよく、思いついた時にパッと入ってサッと出られる。喧騒を離れた知る人ぞ知るそば屋も悪くないが、やはり駅近がいい。乗り換えの時に看板が目に入るだけで、もう頭から離れなくなってしまう。今回紹介するのは「いろり庵きらく 秋葉原店」だ。

  • 「夏野菜冷しかき揚げそば」(490円)

何度か紹介している日本レストランエンタプライズが経営しているブランドのひとつで、駅そばといえばここ、と言っても過言ではないほどのメジャー店である。東京のみならず関東エリア全域にその数62店舗(2018年6月・公式サイト調べ)。関東人ならきっとどこかで出会っているはずと思う。

改札の隣という利便性が魅力

JR「秋葉原」駅の昭和通り口、まさに改札の隣に店を構えている。こちらのいろり庵、面白いことに改札の中からも外からも入店することができる。これは地味に嬉しい。このおかげで、JR秋葉原駅の駅そばのみならず、東京メトロ日比谷線やつくばエクスプレスの駅そばとしても機能しているわけだ。なるほど考えたなNRE、というわけである。改札外から早速中に入った。

訪れたのは平日の午前10時頃。店内には先客が2~3名いた。正面が立ち食いカウンターと厨房。出入口側が着席可能なカウンターだ。左手には仕切り壁があり、向こう側が改札内側の店内というわけである。返却口は両側にまたがっている。出入口近くにタッチパネルの券売機。もちろん交通系ICカード決済可能。コロッケや山菜、たぬきやきつね、かき揚げなど……湿気の多いベットリした季節、今日は冷しで頂きたい。見ると「夏野菜冷しかき揚げそば」(490円)なるメニューが。季節限定のメニューらしく、店内にはポスターも貼られている。これは、ということで画面をタップ。

冷たい細麺に夏野菜がマッチ

客が多くなかったためか、はたまた揚げ置きが相当多いのか、レギュラーメニューでないのにも関わらず30秒ほどで完成。かき揚げは玉ねぎ、パプリカ、ズッキーニ。その上にバジルペーストがこんもり盛られている。これが本格的な風味で、キリッとしまった冷たい細麺によく合う! それぞれのかき揚げも甘みがよく利いている。サイズはやや小ぶりだが、インパクトは大。いつものワサビやネギも脇を固めてくれている。まず間違いがない逸品だ。

  • JR「秋葉原」駅の昭和通り口、その改札の隣にある

秋葉原周辺は立ち食いそばの名店が多いが、中でも駅から最もアクセスがよいのは当店だ。チェーン店だからといって侮ること無かれ、常に挑戦的なメニューを開発してきたからこそ現在の経営があるのではないだろうか。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。