社会人の皆さんは、きっとSNSを活用している人が多いはず。仕事で仕方なく使っている人、積極的に活用している人……さまざまな人がいるだろうが、近年はどんどんSNSの利用率が伸びていることで、いろいろなトラブルも勃発している。ここでは、社会人ならではの"SNSマナー"を解説していきたい。初回は社会人のSNSの利用率、ビジネスでの利用率、メリット・デメリットをご紹介しよう。
実は「仕事でSNSを使いたくない」が本音?
SNSの利用率は伸び続けている。総務省の「平成29年版情報通信白書」によると、SNSの利用率は2016年には71.2%にまで上昇。中でも20代の97.7%は何らかのSNSを利用しており、30代は92.1%、40代は78.3%、50代は60.8%など、社会人のSNS利用率は非常に高くなっている。
では、SNSのビジネス活用率はどうなっているのだろう。一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2017」(2017年6月)によると、仕事で使っている主なコミュニケーション手段の上位は、「メール」(99.08%)、「電話」(90.10%)、「会う」(74.07%)だった。一方、「LINE」が19.42%、「Facebook」が10.06%、「社内SNS」が6.30%など、SNSをビジネス活用する例が目立つ。
一方、Sansan株式会社の「ビジネスにおけるSNSの利用に関する意識調査」(2017年12月)によると、「仕事とプライベートでSNSを分けたい」と回答した人は81.9%に上った。さらに、SNSで仕事関係者とつながることについて、「つながりたい」「ややつながりたい」と答えた「つながりたい派」は、全体のわずか16.4%だった。
特にLINEはプッシュ通知にしている人が多く、メッセージを読んだことが分かる「既読」機能もあり、迅速なコミュニケーションが期待できる。Facebookメッセージもプッシュ通知にしていれば素早くやり取りでき、どちらも通話もできてとても便利なサービスだ。しかし、本音ではつながりたくないが、仕事上で断れずに利用している人が少なくないというわけだ。
クビもありえる!? 社会人がSNSで注意すべきこと
そもそも社会人のSNS利用は難しい面がある。それは、SNSでの発言においても、社会人としての責任を問われてしまうからだ。
たとえば、「この発言は個人の見解であり、所属する会社の公式見解ではありません」などと断り書きをしてあるSNSアカウントをよく見かける。しかし社会人の場合は、たとえ匿名で発言していても、「◯◯社の社員の発言」という目で見られてしまうもの。仕事上公開すべきではないことをSNSで投稿してしまい、クビや左遷などになってしまった人も少なくない。発言内容には、学生の時以上に細心の注意が必要だ。
社用メールは、会社によってメールチェックやモニタリングされている。会社は企業秩序の維持を目的に、社員のメールを監視・チェックすることが認められているのだ。ところが、LINEなどのSNSでのやり取りは、当然ながら会社がチェックすることはできない。つまり、業務上のやり取りは、セキュリティ上からも企業秩序の維持の観点からも、SNSではなく社用メールで行うのが望ましいということになる。どうしてもLINEが使いたいのであればビジネス版LINE「LINE WORKS」を使ったり、ビジネス用グループウェアなどを利用するのもオススメだ。
コミュニケーションにはプラスの効果も
一方、社会人ならではのSNSを利用するメリットもある。
ビジネス面で言えば、コミュニケーションが迅速に取れる点、仕事相手とも親しくなりやすい点だ。同じ会社の別の部署の人とつながっておくことで、プロジェクトなどが進めやすくなるなどの効果が期待できる。また、普段からのつながりによって、SNSで会社の販促情報拡散に協力してもらえる例も少なくない。
また社会人になると、仕事関係の相手以外と知り合う機会はなくなってしまうことが多い。一方SNSを使うことで、普段知り合えない人とつながったり、情報を得たりすることもできる。仕事上の付き合いがない同じ業界の人とつながることで転職に役立つ情報を得られたり、新しい出会いにつながったという話も聞く。
このSNS時代、発言力を高めたり、普段から多くの人と交流しておくことは、社会人にとって大きなメリットをもたらせる可能性があるのだ。
社会人のSNS利用は難しい面があるが、デメリットだけでなくメリットもある。今後、具体的なSNSでのトラブル事例や対策、注意点などについてご紹介していくので、参考にしてみてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)など著作多数。テレビ・新聞・雑誌・ラジオ等メディア出演多数。Twitterは@akiakatsuki。自身のブログ「高橋暁子のソーシャルメディア教室」で情報発信も行っている。