スマートフォンやタブレットと連動させて遊ぶ次世代オモチャ、スマートトイ。専用アプリを用いることで今までにはないオモチャの楽しみ方が広がってきている。そんなハイテクオモチャを子供だけに遊ばせるのはもったいない! ということで、大人も楽しめる、いや大人こそ楽しみたい次世代ハイテクトイを紹介する連載、始めます。

第7回 販売価格
Jumping Sumo 税込19,800円前後 製品ページ
Jumping Sumo用アプリ FreeFlight 3(App Store)


世にも奇妙なエイリアン型スマートトイ!

年に数度、無性に「ラジコンしてぇ」って時が来る。その二度目が、早くもやってきた。一度目は連載第一回の「Sphero」だ

正直、スマホで操作するラジコンは「Sphero」でもう十分だと思っていた。しかし、今回はあの「AR.Drone」のParrot社から出るというのだからほっとくわけにはいかない。

「AR.Drone」といえば、スマホで操縦するカメラ付き飛行ラジコンとして社会現象を巻き起こした元祖スマートトイ。その小型家庭用版「Rolling Spider」がこの夏に発売され話題をよんでいるが、我らがスマートトイストーリー研究室が気になったのが、同時発売されたもうひとつのミニ・ドローン。

こいつ、オモチャのくせに、まるでエイリアン。その正体がコレ。

まるで「トライポッド」のようなクリーチャー

この侵略感。目が光り、不気味な音を出す

シガニー・ウィーバーがあれほど阻止したのにすでに地球にいたのか、お前は。

オモチャたるもの、フレンドリーな顔をしなければいけないという常識を覆す、圧倒的エイリアン。「圧倒的」の使い方が間違っているような気がするが、子供を寄せ付けない大人向けの雰囲気は十分だ。さらにこいつは子供も、いや人類を驚かす、ある特殊な能力を備えていた、それがこれ。

跳ぶ! (BGMは「2001年宇宙の旅」のオープニングテーマをイメージ)

何も知らない人がこれを見たらきっと驚く。道端で死んでると思ったセミが突然暴れた時ぐらい驚く。ルンバが夜中に突然動き出した時くらい驚く。

こいつの名前は「Jumping Sumo」。「AR.Drone」のParrot社がこの夏に送りだした、フランス生まれの憎いやつ。

*  *  *

『ではほかになにかアイデアは?』
『はい、飛ぶラジコンではなく、跳ぶラジコンというのはどうでしょう?』
『なるほど、"走る"と"飛ぶ"の間をとって、跳ぶ……か。面白い』
『よしそれなら鳥のように大空は飛べないけど、少しだけ飛翔できる昆虫のようなものにしよう』

*  *  *

という企画会議があったかは知らないが、いずれにせよこいつは世にも奇妙なジャンプするエイリアン型スマートトイなのだ。

車載カメラで侵略する様子を味わえる

うっかり見た目だけでエイリアンのように扱ったが、ある意味それは正しいかもしれない。なぜならこいつはとんでもない頭脳の持ち主。まるで地球を侵略するための機能を数多く備えている。

その一つが監視カメラだ。正面の口のような部分にカメラを内蔵し、スマホでカメラの映像を見ながら操縦できる。もちろん静止画と動画を撮影も可能。

操縦アプリ「FreeFlight 3」を使用して、スマホを見ながら操作できる。画面左のボタンで直進&更新、スマホを左右に傾けることでコーナリングできる (※音が出ます)

アクロバティックな動きで敵を威嚇?

ジャイロスコープと加速度計を搭載した慣性中枢性能で安定した走行ができる。速度は時速7km(秒速2m)の俊敏性があり、左右90度ターンや180度ターンのほか、スピンやウェーブ、スローシェークといったアクロバットな技も。きっと窮地に追い込まれた時に威嚇して逃げ出すために付けられたのかもしれない。

手動でタイヤを内側に押し込んで、幅を調整することができる。タイヤはスポンジタイヤとなっており、衝撃をうまく吸収してくれる。ミニ四駆世代にとっては感涙モノのスポンジタイヤ

変幻自在のジャンプで敵に襲いかかる?

「Jumping Sumo」の最大の特長が約80cmの跳躍力。尻尾の部分に強力なスプリングを内蔵し、弾く力でジャンプする。垂直方向の高跳びと、水平方向の横跳びの2種類のジャンプができる。上の跳ねるだけではなく、敵に襲いかかるようなジャンプもできるのだ。

ジャンプボタンを押すと尻尾が内部に引き込まれ、床を弾くようにしてジャンプ。一瞬静止するが、跳び出す前のこの一瞬の静けさがまるで狙いを定めた獣のよう (※音が出ます)

機能を紹介するうちにだんだんこいつが本当に「地球を侵略するエイリアン」というコンセプトで生まれたのではないかとという疑惑が強くなってきたので、レビューも兼ねて操作の訓練をしようと思う。

それでは7つのジャンピング・チャレンジをご覧あれ。

7つのハードルを越えていけるのか?

その1.地上をまっすぐ走れるのか?

180度ターンで同じ場所を戻っていく正確な走行がわかる。画面の外でキュインキュイン鳴っているのはターンの音 (※音が出ます)

その2.障害物を越えられるのか?

着地の時もタイヤから落ち、自らバランスを取る (※音が出ます)

その3.人類の英知であるiMacを越えられるのか?

宇宙の文明ならiMacごとき軽々と超えても驚きはしない。着地でおしりが当たりそうだったけど (※音が出ます)

その4.このオレを、いや人類を越えて行け!

なんて薄っぺらい壁だ。もう俺に構うことはない。ゆけ! Jumping Sumo! (※音が出ます)

その5.なくしたリモコンは見つけられるのか?

カメラでモニタリングしながら発見。こいつ、できる! いつの日か、部屋のどこかに住んでいるという小さいおっさんも激写するかもしれない (※音が出ます)

その6.ネコのように仕事を邪魔できるのか?

着地の仕方がネコっぽい。なんというかまってちゃん (※音が出ます)

結論! ジャンプ機能に意外な遊戯性を発見

スマホで操作するラジコンはもう珍しくはないが、ラジコン目線の映像を見ながらスマホで操作するのは予想以上にスリリング。こちらがエイリアンになりきって、地球を侵略しているような感覚になる。ただそれ以上にハマったのがジャンプ機能だ。

昔ながらのアクションゲームには必ずといっていいほど「ジャンプ」する動作が実装されていたのを思い出して欲しい。障害物を超えるため、敵を避けるため、ステージをクリアするため、ジャンプを使っていたはず。

この「Jumping Sumo」を操作するうちに、まるでアクションゲームを楽しんでいるかのような感覚になった。つまりただ走る、飛ぶだけではなく、ジャンプすることでゲームが動的になり、驚くほど遊戯性が高まる。いつの間にかラジコンとして走らせるだけではなく、どんなものが超えられるか、どんなコースがクリアできるか、自分なりの遊び方を探し出すぐらいハマっていた。幼少期の「遊び」って確かにこんな感じだったはずだ。

スマホと連動することが既に当たり前になった今、スマートトイはスマートであるだけではなく、「トイ」としての遊戯性も重要になってくるのだと思う。

オマケ

張替え可能なステッカーでより、いかついエイリアンに変身させることができる