スマートフォンやタブレットと連動させて遊ぶ次世代オモチャ、スマートトイ。大人だからこそ楽しみたい次世代スマートトイを紹介する本連載、第10回目はスマホの通知を腕元で受け取れる、スイス生まれの格安スマート「トイ」ウォッチをチェック!!


着信の錯覚は妖怪のしわざ?

ポケットの中でイタズラする妖怪をご存知だろうか。

スマートフォンの通知がブルっとバイブした気がして取り出してみると、そうでもなかったやつ。そう、それ、"スマホあるある"。絶対ブルったはずなのに、何事もなかったかのように佇むスマホ。この事象にはれっきとした名前が付いていて、幻想振動症候群、またはファントム・バイブレーション・シンドロームというらしい。きっと中2病っぽい妖怪が、「喰らえファントム・バイブレーション!!」と技を繰り出しているのだろう。

そんな妖怪のイタズラともおさらばできそうなのが、今回紹介するスマートウォッチ「ZeSplash」だ。

iOS/Android両対応の防水スマートウォッチ。スマホとBluetoothで連携し、タッチスクリーンで操作する。1時間の充電で待機時間は約90時間

スイスのメーカー「KRONOZ」が手がけたスマートウォッチブランド

第10回 販売価格
マイクロノス ZeSplash 税込18,980円前後 製品ページ(PDF)

なんでもスマホとBluetoothで接続し、着信やメールの通知を振動と音で知らせてくれるという。つまりスマホをポケットに入れたままでも、腕元で通知を受け取ることができる。妖怪ファントム泣かせのスマートウォッチだ。

画面は防水型のタッチパネルで、マイクとスピーカーを内蔵。タッチスクリーンを使用して電話をかけたり、ボイスコントロールでスマホをハンズフリー操作することも可能。電話をかけてきた相手の情報を表示したり、毎日の歩数やカロリー消費量も測ってくれる。いわゆるスマートウォッチだが、価格は2万円を切るお手頃なウォッチだ。

腕元でこれだけの操作ができると想像するだけでワクワクする。子供の頃に見た近未来アニメのよう

これさえあれば、妖怪ファントムのスマホ鳴らしの攻撃を防げるかもしれない。というわけでさっそくその実力を確かめてみた。

誰からの電話か手元で確認。着信ウォッチ

さっそく使ってみようとしたが思わぬ落とし穴があった。それはこの「ZeSplash」のiOSアプリがリリースされていないため、機能が一部制限されるのだ。公式サイトには「iOS 4.0以上/Android 2.3以上」となっているものの、iOSは基本動作のみで、全ての機能が使えるのはAndroid端末のみとのこと。これも妖怪のしわざなのだろうか。

iOSはアプリなしでもペアリングができるが、SMSや Gmail受信通知などの機能は専用アプリがないと機能しない。妖怪Androidのみ、のイタズラか

気を取り直してとりあえずまずはiPhoneとペアリング。「ZeSplash」の電源ボタンを押し、スマホのBluetooth設定画面からあっけなくペアリング。するとiPhoneの連絡先などを自動で同期する。

二回目以降は自動ペアリングしてくれる

iPhoneに電話がかかってくると、登録名で通知され、スマホをポケットやカバンに入れたままでも誰からの着信か腕元で確認できる。着信ラグは2~3秒ほど。そのまま「ZeSplash」で応対することもできるが、本体のスピーカーから音がダダ漏れになるため注意が必要だ。また着信通知だけでなく、スマホの着信履歴を見ることもできるため、気付かなかった着信を見るのにも便利だ。

ZeSplashで着信を確認したり、スマホの電話帳を呼び出し、電話をかけることもできる

画面をスワイプで切り替え。タッチウォッチ

ベルトや本体の一部は防水ラバー製で、画面はタッチパネル式となっている。「ダイヤル」「電話帳」「音声コントロール」「情報」「Music」「歩数計」「通知」「アプリ」などの機能をスワイプで表示。左右でモード切り替え、下にスワイプすると前画面に戻る。

本体にボタンは2つだけ。基本はタッチパネルで操作する。タッチ反応部分の画面サイズは1.54インチで縦横約240mm。画面が小さい上に、タッチ反応がやや鈍いため操作には慣れが必要だ

電話帳の検索もできるが、日本語入力は選択できず。そして英字キーボードも小さすぎて、「ZeSplash」が鬼に見えてきた。妖怪ではなく

ハンズフリー操作で、近未来ウォッチ

腕元の「ZeSplash」からSiriを呼び出し、遠隔操作することもできる。例えばSiriに音声メモをお願いしたり、天気を聞いたりすることも。スマホを腕元でコントロールするちょっとした近未来気分が味わえる。ただし「ZeSplash」の画面上には検索情報は表示されず、音声のみの応対が続くため、こちらも公共の場での使用には注意が必要だ。妖怪ダダ漏れ。

子供の頃に憧れた腕時計型コンピュータのよう。でもぶっちゃけ、今は街角でSiriにも話しかけるのもちょっと恥ずかしいよね。遠い昔に漫画で描いた世界なのに、いざ実現すると照れる。世界よ、これが日本人だ

文字盤を簡単チェンジできる、入れ替えウォッチ

スマートウォッチらしい楽しみ方として、時計文字盤を上下スワイプで切り替えることが出来る。5種類のバリエーションから選べ、いつでもチェンジできる。

時計は常時表示するのではなく、5秒から最長1分で画面は消える。時計を見るときは、一度ボタンを押してスリープを解除しなければならないのがもどかしい

スマホ忘れてますよーの、お知らせウォッチ

腕時計型の特長をいかした機能として、「紛失防止機能」が便利。スマホと10メートル以上離れるとZeSplashが振動して教えてくれる。これがあればスマホを家に忘れて出かけることや、居酒屋に置き忘れることもなくなるかも。幻想の振動ではなく、リアルに助けるバイブレーション。

妖怪ファントムは幻想バイブレーションで人間をだますが、この紛失防止機能はリアルに人を助けてくれる。スマホをリビングに置いたまま、ちょっとトイレに行っただけでもいちいち通知してくれるところがお茶目

Android端末では専用アプリをインストールすることで、SMSの送受信やgmail、Facebook、Twitterの通知機能も利用できるらしい。正直、羨ましい

結論:スマート・トイウォッチ

これはスマートウォッチではなく、スマート「トイ」ウォッチ。「Apple Watch待ち」の人が「雰囲気」を楽しむにはいいかもしれないが、全体的に「トイ」感が強いため、本格的にスマホと連動して「操作」するのは現実的ではない。どちらかというと、スマホと連携する「通知ウォッチ」として捉えたほうが良さそうだ。

スマートウォッチに本当に必要な機能とは何かを考えさせられた。ただスマホをサポートするオモチャと考えると、充分すぎる機能を兼ね備えている

ただし単なる通知ウォッチと言って侮るなかれ。最近のスマホが大画面化する中、カバンから取り出すのが面倒だったり、本体が大きすぎてうっかり落としてしまう人も多いだろう。個人的にも昨年iPhone 6をポケットから取り出す時に落として画面を割ったこともあった。街中を歩いている時にポケットでブルって来ても腕元でさっと通知だけを確認できれば安全であり、これぞスマートではないか。

今年はApple Watchの発売が噂されているが、案外初めはこういった「通知」のためだけに使用されるかもしれない。そういった意味では、似たような一部機能が一足先に使えるスマホ連携時計に、「トイ」以上の価値を見出す人もいるかもしれない。