「REON POCKET(レオンポケット)」は、ソニーが独自に開発した手のひらサイズの「着るエアコン」です。2022年モデル(最新第3世代)のレオンポケットは、数々の進化を遂げて強力な冷却性能を獲得しました。節電にも気を配りながら、2022年の暑い夏を乗り切るために欠かせないスマート家電の最新モデル、「REON POCKET 3」の上手な活用術を紹介します。

  • ソニーがつくった着るエアコン「REON POCKET 3」の賢い使い方をレポートします

首に直接あてて身体を冷やす

レオンポケットは、専用のウェアやネックバンドを使って身体に密着させて使うウェアラブルデバイスです。電圧をかけると発熱および吸熱(冷却)するペルチェ素子を組み込んだステンレス製のパネルを、首もとの肌に直接触れさせて冷温感を得る仕組みです。

筆者は「レオンポケットってなに?」と人に聞かれたときは、わかりやすく伝えるため「着るエアコン」と答えたりもします。でも、いわゆるハンディ扇風機とは異なるタイプのデバイスです。ただしペルチェ素子の発熱を逃がすために、内蔵するファンの排気による送風モードも搭載しています。そして寒い冬には、発熱効果を利用してポケットカイロのようにも使えます。

  • レオンポケット3の本体サイズはパソコンのマウスくらい

  • 本体裏側のステンレス製パネルを首もとの肌に触れさせて、冷温感を得られます

冷却レベルの強弱や電源オンオフを自動コントロール

最新世代のレオンポケット3は2022年4月に発売されました。価格は前世代のモデルと同じ14,850円に据え置きながら、冷却効果は約1.5倍にパワーアップ。連続駆動時間は約2倍に延びました。

レオンポケット3は「SMART COOL MODE」というスマート機能も新たに搭載。人の肌温度は通常30℃前後とされています。レオンポケット3はモバイルアプリから冷感効果の強弱を手動で変えられますが、SMART COOL MODEを有効にすると、ユーザーが心地よく感じる冷たさに自動調節してくれます。

REON POCKETアプリからSMART COOL MODEをオンにして、パワーが異なる「ぬるめ/少しぬるめ/普通(おすすめ)/少し冷ため/冷ため」の5段階から冷却効果を選びます。

  • REON POCKETアプリに新設されたSMART COOL MODE。5段階から選んだ冷感へと、自動調節してくれます

小さなレオンポケット3には複数のセンサーが内蔵されています。体表面の温度を計るセンサーを中心に連携して、ユーザーが設定した冷却温度をレオンポケット3がキープ。肌に触れているパネルが冷たいままだと「冷感慣れ」してしまうというユーザーの声が多くあったことから、SMART COOL MODE時には設定されている好みの温度から上下させて、心地よい冷たさが長続きするように工夫しています。

  • SMART COOL MODEをオンにしてから、好みに合わせた冷感レベルを5段階から選択

  • SMART COOL MODEによる運転中は、レベルごとに設定された「ターゲット温度」に自動調節。肌が「冷たさ慣れ」しないように、設定温度の前後を行き来するように設計されています

レオンポケット3は、本体の内蔵バッテリーで約2時間以上動作します。オフィスや自宅などで長い時間使いたい場合、モバイルバッテリーやパソコンからUSB経由で給電する手もあるでしょう。この場合はレオンポケット3が一時停止するまでCOOLモードで約8時間、WARMモードは約1時間の連続使用となります。

  • USB給電による長時間駆動にも対応。モバイルバッテリーも使えます

最新世代のレオンポケット3には、首もとに装着するだけでセンサーが検知して、直前に設定されていたCOOL/WARMモードを自動で開始・停止できる機能も搭載されました。誤動作によってムダにバッテリーが消費されることもなく、とても便利で優秀な機能です。

  • モバイルアプリからAUTO START/STOP機能をオンにします

  • レオンポケットが身体から外されたことを自動検知して電源をオフにします

専用のネックバンドやシャツをそろえよう

本体のデザインは、歴代モデルからほとんど変わっていません。その理由は「レオンポケット専用」として発売されているウェアなどのアクセサリー。ユーザーが最新のレオンポケットに買い換えたあとも、専用アクセサリーを使い続けられるように配慮したからです。

ソニーは、首もとにレオンポケット用の収納ポケット設けた男性用インナーシャツ(半袖)とビジネスシャツ(長袖)を発売しています。

  • レオンポケット3と同時期に発売された長袖のビジネスシャツ

  • シャツの内側にレオンポケットを装着するためのポケットが

いろいろな服装に合わせてレオンポケットを使いたいという女性ユーザーのために、本体を首にかけられる専用ネックバンドもリリースされました。

レオンポケット3と同時発売となった第2世代ネックバンドは、バンドに可動部を設けて装着性をアップ。開き角度を首まわりのサイズに合わせて、肌とデバイスの接触具合に応じて微調整できるように改良されています。

  • レオンポケット3を第2世代ネックバンドに装着

  • 左右バンドの可動部を調整して、開き角度を変えられます

レオンポケット3は本体が約92g、第2世代ネックバンドは約24g、合わせて約116gです。これくらいの軽さなら、長く身に着けても肩コリの原因になる心配はあまりないと思います。ただ、COOLモードで使う場合は、レオンポケット3の内蔵ファンによる空気の流れが循環するように、吸排気口をふさがず身に着けることが大事なポイントです。

  • ネックバンドにレオンポケット3を装着して、ジャケットを羽織ってしまえば目立ちません。レオンポケット3の発熱を逃がす排気口の近くをなるべくふさがないように装着すると、冷たさがヘタりにくくなります

レオンポケットの上手な使い方と、使用上の注意点

今年(2022年)は例年より早く訪れた夏本番を迎えて、筆者のレオンポケット3もフル稼働中です。4月の発売直後からレオンポケット3を使っていて、6月上旬まではCOOLモードで少し肌寒く感じたものですが、30度を超える日が続くようになってからは「レベル3以上がキホン」になってしまいました。

  • REON POCKETアプリから、任意のレベルへと冷感の強さを調整

USB給電による動作中は、COOLモード最強の「レベル4+」も使えます。肌に触れる接触面の温度は約21~22℃前後。すごくひんやりします。筆者はパソコンとUSBケーブルを持参して、外出を伴う取材の合間にレオンポケット3をカフェなどでも利用しています。急いで身体の熱を引かせたいときにはレベル4+が効果的ですが、レベル4+を使い続けると肌がヒリヒリしてくることも。少し涼めたらSMART COOL MODEに切り換えながら使っています。

夏にはレオンポケット3のCOOLモードが多くの場面で重宝するでしょう。暑い日中の外出にもはやレオンポケットは欠かせません。エアコンがない屋外でも、まるで自分だけが冷却効果による無敵フィールドに護られているような優越感で満たされます。お風呂あがりのリラックスタイムも、ビールとレオンポケット3があれば極楽です。

  • 風呂あがりの晩酌タイムもレオンポケット3でひんやり。ビールがすすみます!

さて、レオンポケットを使うときにはいくつか注意点も。たとえばCOOLモードの強度を上げると、小さなデバイスとはいえファンノイズがそれなりにうるさくなります。特に静かなシェアオフィスやカフェでリモートワークをしながら使う場合は、周囲に迷惑をかけないように気を配るべきです。

レオンポケット3の本体は、肌に触れるパネルと内部パーツに防滴シーリング処理を施していますが、本体自体は防水・防汗対応ではありません。汗を多くかく運動中の使用は避けて、運動後のクーリングタイムに活用することをおすすめします。ただウォーキングやゴルフなど、軽めの運動にレオンポケット3が使われることについては、ソニーも想定しています。

そして、気温が35℃を超える炎天下で長時間作業の負担を軽減する用途として、あるいは熱中症対策としてレオンポケット3を使うことは、ソニーは推奨していません。そもそも暑さが厳しい日にはできる限り無理を避け、エアコンを使う、涼しい場所に行く、水分補給をしっかり――といった熱中症対策を採ってください。

レオンポケット3で賢く節電。シニア家族の健康サポートにも

レオンポケット3はAIを搭載するスマート家電ではありませんが、新設されたSMART COOL MODEのアルゴリズムには機械学習的なアプローチから得た成果も生きています。ソニーが得意とするセンシング技術によって、誰でも簡単に使いこなせるところがレオンポケット3が持つ最大の魅力だと思います。

暑い日にレオンポケット3を併用すれば、気温が高くなる時間にはエアコンの設定温度を少し高くして、電力使用のピークシフトに貢献できそうです。また、高齢な家族の健康を守るヘルスケアデバイスとして、今後はレオンポケットへの注目度が高まりそうに感じています。