在宅リモートワーク生活が長く続いたおかげで、筆者もスマートデバイスによる健康管理にのめり込んでいます。先日、サムスンのスマートウォッチ「Galaxy Watch4」を購入しました。今回はGalaxy Watch4の導入・体験記をレポートします。
Apple WatchユーザーがGalaxy Watch4を選んだ理由
筆者は以前からApple Watchのユーザーでもあります。Apple Watchの使い勝手には十分に満足していますが、それでもスマートウォッチをおかわりしくなった理由は2つあります。
ひとつは、Galaxy Watch4が手首に装着して体組成データを簡単に計測できる機能を搭載しているから。Apple Watchには今のところ、ハードウェア単体で同じことができる機能がありません。
筆者は以前、Withings(ウィジングズ)の体組成データが計測できるスマート体重計「Body Cardio」をレポートしました。
体重だけでなく、太りすぎや筋力低下の指標となる体組成データを定期的にチェックできると、ジョギングなどスポーツで体を動かしたことの成果がより明快に見える化され、体力作りのモチベーション向上・維持につながりました。
スマート体重計は持ち歩けませんが、スマートウォッチであれば体を動かした直後や、旅先でも体組成データが調べられるので、余計に便利になるのではと期待しています。
もうひとつの理由は、WearOS Powered by Samsungの使い勝手を試してみたかったからです。筆者はWearOSのスマートウォッチもいくつか使っていますが、グーグルとサムスンが手を組んで開発した新しいウェアラブル向けOS(WearOS Powered by Samsung)が進化した点、あるいは反対に不便になるところをいち早く知りたいと考えました。
残念ながら後者の不便に感じられる点については、さっそくひとつ見つかってしまいました。従来のグーグル純正WearOSを搭載するスマートウォッチにも、iPhoneにペアリングして使うと、Androidスマホの場合と比べて一部の機能が使えず不便になる場合がありました。しかし、Galaxy Watch4はそもそもiPhoneにペアリングして使えません。
Galaxy Watch4を使うには、Android 6.0以降を搭載するAndroid端末が必要になります。さすがにスマホはサムスンのGalaxyシリーズでなくてもいいのですが、iPhoneユーザーにも門戸は開いてほしかったところ。今回はGoogle Pixel 5a (5G)にアプリをインストールしてGalaxy Watch4をペアリングしました。
軽快な装着感。防水・防塵対応も万全
筆者はケースサイズが44ミリのBluetooth/Wi-Fiモデルを購入しました。筆者は手首が細いので、40ミリのモデルでも良かったのですが、カラバリはグリーンが欲しかったので44ミリを選びました。
Galaxy Watch4はストラップを除いた重さが約30.3g。ヘッドが軽くスリムなので着け心地は良いと思います。本体はIP68相当の防塵・防水対応に加えて5気圧防水仕様なので、身に着けてプールで泳ぐこともできます。
付属するシリコン製ストラップは水濡れや汚れにも強いため重宝しますが、バンドはピンを外すことで着脱も簡単。着せ替え用バンドもぜひ追加してほしいですね。
心拍を計ったりアクティビティを記録したりなど、Galaxy WatchとApple Watchとの間で重なる機能も多々あります。しかし、だからと言ってApple Watchで長年記録してきたアクティビティやヘルスケアのデータ記録を今さら止めるわけにもいきません。
筆者は腕時計を左右のどちらに着けてもあまり気にならないほうですが、両手首に着けて過ごすのはさすがに毎日は辛いので、日替わり・週替わりのシフトを決めて使うことも検討しようと思っています。
海外調査会社の報告によると2021年の第1四半期時点、世界のスマートウォッチ市場でApple Watchが全体の3分の1を超える出荷台数シェアを獲得したそうです。
今後、Apple Watchが実現できていない機能を備えるポータブルタイプのフィットネスデバイスを企画・開発するメーカーは、ウォッチ以外の例えばリングやペンダント、イヤリングなどの「アクセサリー」としてスマートデバイスを開発することも視野に入れると良いかもしれません。または、Apple Watchと一緒に手首に着られる細身のブレスレットといったデバイスでも良いのではないでしょうか。
念願の体組成データを測定。スマホで管理する
Galaxy Watch4の初期設定を済ませて、まず最初に体組成データを計ってみました。Galaxy Watch4もWithingsのスマート体重計(Body Cardio)と同じ「生体電気インピーダンス法(BIA:Bioelectrical Impedance Analysis)」によって、人体に微弱な電流を流したときの電流の流れにくさ(電気抵抗値)を計測して体組成を導き出す技術を採用しています。電気を流すと言っても身体にビリッとくるわけではないので安心です。
体組成データの測定は本体背面のセンサーを手首に密着させて、ケース側面の2つのボタンに指を添えながら行います。計測は約15~20秒で完了します。
リストデバイスのGalaxy Watch4は、Withingsのスマート体重計と違って体重は量れません。従って測定を始める前に、別途体重を量って手入力する必要があります。
Galaxy Watch4で測定できるデータは、骨格筋(筋肉量)、体脂肪量と体脂肪率、BMI(ボディマス指数)、BMR(基礎代謝量)、および体内の水分量です。体組成データは自動計測には対応していないため、ユーザーが自発的に記録したデータがS Healthアプリに蓄積される仕組みになっています。
スマホとアプリを連係すれば、Galaxy Watch4で測定したデータをまとめて管理して、推移をグラフにしてスマホで見たり、前回計測からの数値変化もコメント付きで参照できたりします。
Galaxy Watch4で計測してS Healthアプリに記録が残せるデータとしては、ほかにも心拍や血中酸素レベル(SpO2)、ストレス計測などがあります。
睡眠トラッキング機能には眠りの深さ(=睡眠の質)を評価したり、いびきをかいていた時間をスマホの内蔵マイクで検知して記録するサブメニューもあります。
Galaxy Watch4が搭載するヘルスケア機能、およびスポーツシーンに役立つフィットネス機能についてはまた1カ月前後、使い込んでみてからロングランチェックレポートとして詳しくお伝えする予定です。
ハードウェアとの連係がよく練られた新しいWearOS
気になっていたWearOS Powered by Samsungは、ハードウェアとの連係も良く、タッチ操作のレスポンスやアプリの動作がとても機敏で快適です。筆者がこれまでに試してきたWear OS搭載のスマートウォッチと比べても、心地よく使えるインタフェースだと思います。
体組成や心拍、ストレス計測のアプリは、ホーム画面を横にスワイプすると表示される「タイル」からすばやく呼び出せます。
ホーム画面を下から上にスワイプすると、インストールしたアプリのアイコンを並べて表示。GoogleマップやPlayストアをプリインストールしている点は魅力的ですが、一方でGalaxyシリーズのデバイスを使っていないと不要なプリインストールアプリもあります。アイコンを長押しして削除を選択すると、リストが整理できます。
Google Playストアを開くとテーマごとにアプリを探せて、フリーワード検索にも対応しています。Google Fit、SpotifyやIFTTT、YouTube Music、Shazam、瞑想アプリのCalmといった定番プリは、これまでのWearOSと同じ感覚で見つけられそうです。スマホを介さなくてもGalaxy Watch4から直接アプリをダウンロードできますが、課金コンテンツの決済にはスマホが必要です。
バッテリーの持ちは良好。スタイリッシュな文字盤が欲しい
44ミリのモデルが内蔵するバッテリー容量は361mAh。公称スペックでは最大連続駆動約40時間をうたっていますが、目安としては1日半ぐらい(満充電から)続けて使える感触です。
夕食の時間以降にどこかで充電しておけば、バッテリー切れの心配をせず睡眠トラッキングが使えるでしょう。チャージにはGalaxy Watch4の専用充電器を使います。
ファーストインプレッションではおおむね良好なGalaxy Watch4ですが、ひとつ注文を付けるとすれば好みに合う文字盤が見つからないことです。せっかく上品なデザインのウォッチなので、もっと高級感のある落ち着いたデザインのGalaxy純正文字盤を、デザイナーなどとコラボして制作・提供してほしいと思います。
Galaxy Watch4のフィットネス・ヘルスケア関連の深掘りロングランチェックは、次回以降にまたこの連載の中でお届けします。