2018年は副業元年と言われているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多い。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことでそこそこの収入を生み出している人を紹介していく。
6回目となる今回は、薬剤師として働きながら、アロマテラピーレッスンやアロマトリートメントの提供など、アロマ関連を副業として月に5万円前後を稼いでいるという、服部佐知子さん(40代)を紹介する。
そもそも、薬を扱う薬剤師という仕事と、身体に良さげなアロマを扱う副業とでは、ある意味真逆の仕事内容のようにも感じるのだが、なぜアロマを副業にすることにしたのだろうか。
体験からハマったアロマの世界
「私がアロマテラピーに出会ったのは10年ほど前なのですが、当時漢方を扱う薬局に薬剤師として勤めていたこともあって、自然療法に興味を持ち始めたことがきっかけなんです。その後トリートメントを受ける機会があって、施術後は肌の調子が良かったものですから、更にアロマを勉強。だんだんとハマっていきました」
その後本格的にアロマの勉強を行い、様々な資格を取得した服部さんは、「自然の恵みを上手く活用する知恵をどんどん伝えていきたい」との思いから、副業として取り組むことを決意。
今では「アロマ体質診断」「アロマテラピーレッスン」「アロマトリートメントの提供」「資格取得講座」と幅広いサービスを提供。自分用の化粧水やクリームなども全て手作りだそうだ。
多くの人がアロマを通して幸せになってくれる、それがやり甲斐
しかし人の健康に携わる仕事というのはやり甲斐がある反面、非常にデリケートな部分も併せ持つように感じる。これまで想定外のトラブルや困った出来事はなかったのだろうか。
「特にありません(笑)。ただ、アロマを学びに来られた生徒さんにあれこれ伝えすぎて、楽しさより難しさが勝ってしまった、ということがあります。というのも日頃から『アロマを安全で身近なものとして使うために、注意すべきことが沢山ある』ということを一番大切にお伝えしていますので、どうしてもそうなってしまうのですね。」
それでも多くの人が服部さんのところでアロマを学び、それを実践し、そして自分で作った化粧水などを使って良い効果が出たと喜んでくれる。それが何より嬉しく、やり甲斐につながっていると服部さんは言う。
課題は場所の確保と集客だった
とは言え、もちろん最初から順風満帆に副業をスタートできたわけではない。最初はレッスン場所の確保から悩んだそうだ。都心部であればレンタルスペースなど探すといろいろ見つかりそうだが、服部さんの場合は拠点がそうしたエリアではなかったために、場所探しは難航。カフェなどを使うという方法もあるが、アロマは香りが漂うため、なかなかOKしてくれるところも少ない。やっとの思いで場所を確保できたのはいいが、今度はお客様を集めるところで躓いた。
「ブログをコツコツ書き続けました。やがて検索で見つけてくれる人が出てきまして。少しずつお問い合わせが増えてきたのです。あとはFacebookにアロマ教室の様子をアップしていたのもよかったのかもしれません」
諦めずに続けることと、人とのつながりを大切にすることが成功の秘訣、という服部さん。これからの展望をこう語ってくれた。
「ハーブ園を作って、自家製ハーブから自分で精油や手作りの材料を作ったり、ハーブを使った商品を作ったりしたいですね。そしてそこから地域活性化にもつなげていきたいと思います」
やはり人のためを思って動ける人は強い、というのが著者の感じた成功要因だ。服部さんは自分の体験をもとに、多くの人にアロマの良さを知ってほしい、そして健康になって欲しいと願い、行動を開始。その勢いのまま副業を続け、多くの人とつながり、その先には地域活性までも視野に入れる。もちろんブログやSNSの効果もあるが、決してそれだけでないことは間違いない。
「人のために明かりを灯せば、自分の前も明るくなる」という言葉があるが、まさにそれを証明するかのような服部さんの副業といえるだろう。
戸田充広
趣味起業コンサルタント。全日本趣味起業協会代表理事。
趣味起業のパイオニアとしてこれまで300名以上の趣味起業家を育て、現在は全国でのセミナー、講演活動のほか、数々の講座でさらに趣味起業家を育て続けている。著書に『稼げる! 自分に合った副業が必ず見つかる! 副業図鑑』(総合法令出版)、『決定版! 趣味起業の教科書』(マガジンランド)、『消費税率アップから家計を守る! サラリーマンのための安全「副業」のススメ』(すばる舎)などがある。「全日本趣味起業協会」