副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。

今回紹介するのは、コールセンターでのOLを経て、今はアロマセラピストとして活躍している植田容実さん(50代)。自宅サロンでアロマを使ったトリートメント(マッサージ)を提供するのが仕事だ。

  • アロマセラピストとして活躍する植田容実さん

    アロマセラピストとして活躍する植田容実さん

人と会う機会を増やして顧客開拓

OL時代からアロマ好きで勉強していたという植田さん。あるときアロマの先生に再会したり、友人から施術ベッドをもらったり、ということが続いたことから、その流れのままにアロマサロンをオープン。

とはいえ、サロンをオープンするにあたっては、分からないことだらけだったそうだ。

「部屋の内装をきれいにしたり、自宅の前につける看板を作ってもらったり。オープン後は、自分が行ってみたい講習会やお茶会を見つけては出掛けて、人脈も少しずつ広げていきました。また、自分でもお茶会や講習会、イベントを定期的に開いて、できるだけお客さまと交流できる場を持つように心がけたんです。でも楽しかったので、大変だとは思いませんでしたよ」。

  • 多くの人の協力を得て、自宅にサロンをオープンした

    多くの人の協力を得て、自宅にサロンをオープンした

植田さんのように、こうした"人対人"のサービスを提供するジャンルの仕事では、実際に会って話せる機会を作ることも成功の秘訣と言える。信頼関係を築くことで商品購入に至るケースが多いからである。

そうして今ではアロマサロンをメインの仕事にされている植田さん、月収は多いときで10万円を超えるという。

こだわりがうむ口コミ

それでも最初は集客に苦戦し、試行錯誤を繰り返したと教えてくれた。

「近くの郵便局の片隅をお借りして、ハンドトリートメントのお試し施術イベントをしたことがあるのですが、急いでおられる方も多く、私のイベントブースに立ち寄ってくださるお客さまがとても少なかったんです。今思えば、事前にもっとお知らせの準備をしておけば良かったなぁと。郵便局内にポスターを貼らせてもらうとか、チラシをまくとか、できることは色々あったと思います。いい勉強になりました」。

それでもやはり、お客さまとのふれあいや、「リラックスできました」「気持ち良かったです」という喜びの声が、やりがいにつながっているのだそうだ。

「施術中にお客さまがスヤスヤ眠ってくださった時も、とてもうれしいですね。また、お客さまに元気になっていただくためにも、まずは自分が元気でいることを心がけています。こちらの状態がどうであるのかは、すぐに伝わってしまいますので。お客さまの前では『いつも元気でエネルギーいっぱい』でありたいです。そのための自己管理は欠かせません」。

そうした植田さんの心遣いや施術のこだわり、工夫が伝わったのか、徐々に口コミも広がり、お客さまは増え続けているのだそうだ。

内側と外側から身体をサポートしたい

そんな植田さん、今後の展望を次のように語ってくれた。

「薬膳料理インストラクターの資格を取得して、食についての提案もさせていただけるようになりました。アロマトリートメントは外側からのアプローチ、薬膳は内側からのアプローチです。『ボディケアの専門家』として、総合的にお客さまの身体をサポートしていきたいです」。

自宅サロンは立地にもよるが、集客に苦労するケースが多い。というのも、お客さまにとって「サロン」とは言え、他所さまの家にお邪魔することになるので、少しハードルが上がってしまうのだ。

植田さんの場合は、「会う機会を作る」ことでそのハードルをクリアしている。そのうえ、施術やおもてなしへのこだわりで口コミが広がっていることが勝因といえるだろう。

今後は身体の内側と外側の両面からサポートできるように勉強中とのこと、一層の口コミが広がっていくに違いない。