2018年は副業元年と言われているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多い。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験を活かし、自分の得意なことでそこそこの収入を生み出している人を紹介していく。
13回目となる今回は、サラリーマンとして会社勤めをしながら、個人で英会話教室を開いている清水健雄さん(40代)を紹介する。まさに特技を使った副業の典型とも言えるスタイルかもしれないが、だからといってスタートすれば生徒が来るというわけでもなく、ライバルが多いジャンルという意味でも苦労は多そうだ。
きっかけは「教えてほしい」という声
そもそも清水さんは学生時代、オレゴン州に5年、前職時代にも海外出向でテネシー州に5年住んでいたというから、英語はネイティブ並みだ。そしてこれだけの能力を活かさない手はないということで始めたのが、個人で運営する英会話スクール。
スクールと言っても最初はカフェなどの一角でレッスンをするスタイルからスタートし、今では留学サポートも手がけるなどして、月に3~5万円程度の収入があるという。
「英語を教えてほしい、という声を多数いただいたのでレッスンを始めたのですが、やはりその後は集客に苦労をしましたね。今でもそうなのですけど(笑) 私の集客の基本はブログとホームページ、そしてfacebookの活用ですが、いかに自分がターゲットとするお客様に見つけてもらうかに難しさを感じます」
オリジナルプログラムの開発がカギ
最初はターゲットもなかなか明確にならず、「ネイティブとの会話に緊張してしまう日本人向け」に教室を展開してみたり、逆にアメリカ人を連れてきてレッスンに参加してもらうなどの工夫をしたり、どのように差別化をして生徒さんから選ばれる教室にするか、数々の試行錯誤を繰り返してこられた清水さん。最終的には「アメリカ留学希望者」にターゲットを絞り込み、そのためのオリジナルレッスンプログラム開発にたどり着いたという。
「留学生はもちろん、海外へ行きたい人たちのために、このオリジナル教材を使ってレッスンをしていますが、やはり生徒さんのモチベーションがグングン上がって『楽しい』と言ってもらえることにやり甲斐を感じますね」
本業とのバランスを常に意識する
そう話す清水さん自身がレッスンを楽しんでいるように見えるが、本業との掛け持ちで大変だと思うことはないのだろうか。
「特にないですよ。時間の合間を縫って上手くやらせていただいています。あ、でも一度だけ失敗があります。どうしても自分の都合でレッスンのスケジュール変更をしていただかざるを得なくなったことがあり、生徒さんのやる気を著しく低下させてしまったのです。結果的にレッスンそのものを断られてしまいました」
こうしたケース、清水さんが一度で済んでいるのは優秀なのであって、普段からの仕事とのバランスの取り方の上手さが伺える。実は副業を頑張っている多くの人にとって、本業と副業のバランスの取り方は永遠のテーマとも言え、いかに本業を優先しつつ、副業でも信頼を築くかは常に意識をしておくべきポイントだ。
夢はフランチャイズ化
さて、これまでもレッスンの開発にチカラを注ぎ続けてこられた清水さん。現在は「TED Talk」のスピーチを参考にオリジナルテキストを作っているそうだ。
「私のレッスンは、事前に課題をこなしていただくことが前提になっています。その分、生徒さんにはレッスン以外の時間も使っていただくことになるのですが」
そのレッスンスタイルからは清水さんの本気度が伝わってくるうえに、習いに来る生徒も"本気の人"に絞られる。それが語学力アップにつながり、清水さんの副業の成果にもつながっているのだろう。
そんな清水さんに今後の展望を聞いてみた。
「私が使っているオリジナルプログラムを、ほかの英会話スクールでもぜひ使ってもらえるようにしたいですね。一種のフランチャイズ化みたいなものになるのかもしれませんが」
清水さんのように、特技を活かしてレッスンや教室を展開する人は多いが、同じく集客に苦労している人も多い。ただ、清水さんは弛まずより良いレッスンの開発を心がけ、そしてどんな人に来てもらいたいか、ターゲットを明確にされたことが成果につながっているものと筆者は考える。
筆者プロフィール: 戸田充広
趣味起業コンサルタント。全日本趣味起業協会代表理事。
趣味起業のパイオニアとしてこれまで300名以上の趣味起業家を育て、現在は全国でのセミナー、講演活動のほか、数々の講座でさらに趣味起業家を育て続けている。著書に『稼げる! 自分に合った副業が必ず見つかる! 副業図鑑』(総合法令出版)、『決定版! 趣味起業の教科書』(マガジンランド)、『消費税率アップから家計を守る! サラリーマンのための安全「副業」のススメ』(すばる舎)などがある。「全日本趣味起業協会」