副業解禁元年と呼ばれた2018年から3年。日々のニュースでも、副業という単語はよく目にする。

しかし、エンジニアや通訳というような専門性の高いスキルを持たない会社員にとっては、自分にどんな副業ができるのか、どう自分のスキルを副業で活用できるのか、想像できない人も多いのではないだろうか。

今回は、営業としてのバックグラウンドを活用しながら副業でキャリアの拡張をする副業3年目の営業マンに話を聞いてみる。

  • 副業は「専門性の高いスキル」がなくでもできる?

20代後半の米山優希さんは、副業マッチングサービス会社で正社員のセールスとして働く。

同時に、女性向けのキャリアスクールのキャリアコーチ、紹介型の恋活サービスのマッチングプランナーという二つの会社で副業をし、月額約10万円を稼いでいる。

「副業のきっかけは、デザインに興味があって通っていたキャリアスクールで、キャリアコーチとして副業参画者の募集を見つけたことだった」と話す彼女に、営業職のキャリアを生かした副業にはどんなものがあるのか? を聞いてみた。

副業もエージェントを使うと見つけやすい

「営業の副業案件の絶対数自体はやっぱり他職種よりは少ないと思うので、自分で見つけられない場合は、副業マッチングサービスに登録してアドバイザーに相談するのがお勧めです。サポート機能のないマッチングサービスよりも、エージェント型でアドバイザーがついてくれるもののほうが、自分の経験に親和性のある案件に出会える可能性が高いです」。

また、最近は副業マッチングサービスの数も増え、なかには営業に特化した副業マッチングサービス等も出てきているが、営業特化型サービスの向き不向きは、副業をしたい目的によるという。

「たしかに営業特化の副業マッチングサービスを利用すれば、案件そのものは見つけやすいと思うのですが、それだと中身は完全な営業代行で、アポを取ってきて完了なものも多く、副業に『本業とは違う経験』や『面白さ』を求めるのであれば、期待外れになってしまうかもしれません。若手の営業マンとか、アポを取ってくるだけの仕事は本業だけでもう十分って方も、いるでしょうし」。

では、どんな文言で募集されている営業系の副業案件なら、クロージングまでの裁量権を持たせてもらえるような副業案件が探せるのか?

米山さんは、「プランナー」や「コンサルタント」「アドバイザー」というキーワードが一つのヒントだと言う。

「押し売りするとダメな商材だけど、でも営業要素もあるよね? というポジションが、世の中的には『〇〇プランナー、〇〇コンサルタント』という名前になっていることが多いので、そういう名前で探してみるのは、営業職が副業でキャリアを広げる一つの方法です」。

傾聴力を活かしてライフコーチへ

実際に、米山さんの二つの副業は、キャリアスクールでは「ライフコーチ」、紹介型の恋活サービスでは「マッチングプランナー」だと話す。

「どちらもカウンセリング的な要素が強く、営業というより、その人の幸せに導く『コーチング』の仕事と捉えています。『コーチング』とは、悩んでいるけど、自分の中で答えを持っていない人に対して一緒に答え探しをするようなイメージで、こちらから答えを出すことは絶対にせず、考えやすくするための問いを出してあげる仕事です」。

例えば、恋活サービスの会社では、「お相手に求めることはなんですか?」と聞くのではなく、「5年後、休日はどんな過ごし方をしていますか? どんなところに住んで、どういうお洋服を着ていたいですか?」と理想の未来像に対する問いを重ね、そこからその人にとって重要な要素に落とし込んでいくという。

技法としては、ライフコーチも同様だと説明する。

営業経験を活用した非対人な「副業」も

また、「営業×副業」でも、人に向き合う仕事から趣向を変えて、営業資料のブラッシュアップをするといった副業もあるという。

営業資料に求められるのは、結局は何をどう伝えるべきかを、分かりやすく効果的に組み立てる力、つまり「刺さる構成力」なので、デザイン性の要素は限定的という。

「IllustratorやPhotoshopなどを使えることは不要で、パワポができれば十分です。かつ、資料作成業務であれば、人を相手にする副業よりも、時間帯を問わずに自分のペースで進めやすいのも魅力です」。

営業のキャリア周辺でも、こんなに色々ある「副業」。どんな副業に一番惹かれましたか?

著者プロフィール:上原里菜


株式会社シューマツワーカーの広報として、パラレルキャリアを通した人生の可能性・副業兼業人材を活用した企業の課題解決法を啓蒙。自身も複業家として活動中。