再び朝市に参加してシコイワシを大量購入
2008年6月15日、大磯港で行われる朝市に再びボランティア参加して、スーパーのビニール袋2つ分のシコイワシを買ってきた。5月の朝市に並んだ魚はジンタ(豆アジ)ばかりだったが、6月はジンタよりもシコイワシの方がはるかに多い。体長12cmほどの小振りなシコイワシは1袋100円、つまり2袋で200円。ハイオクガソリン1リッターとたいして変わらない値段で、約3kgものイワシが手に入ったわけだ。
帰宅後、早速シコイワシを何匹か指でさばいてみた。頭とエラ、内臓、中骨をとり、醤油をチラリとかけて食べてみる。トロトロに脂がのっている季節ではないが、新鮮なイワシはやっぱりおいしい。ひとしきり台所での刺身の立ち食いを楽しみながら、目の前に盛られた大量のイワシで何を作ろうか考えた。一気にすべて煮てしまうか、それとも天ぷらか、南蛮漬けか、干物か。
そういえば、ぼくを朝市ボランティアへ誘ってくれたHさんは、毎年この時期のイワシでアンチョビとオイルサーディンを作ると言っていた。簡単だから誰でもできますよ、とも。よし、その言葉を信じてみよう。実はアンチョビとオイルサーディンは、どちらも絶対に在庫を切らさないほどの大好物だ。それが自分の手で作れてしまうなら、これほどうれしいことはない。
アンチョビとオイルサーディンに挑戦
イワシを台所のシンクに広げて、ジンタと同じく、包丁を使わずに手でさばいていった。刺身で食べる時は中骨をはずしたが、アンチョビやオイルサーディンはそのまま残してかまわない。約3kgのイワシをさばき終えるのに意外と時間はかからなかった。
下処理完了。まずは、アンチョビから仕込むことにする。さばいたシコイワシの水気を拭いてから、その重さの4分の1にあたる量の塩をまぶしながら密閉容器に並べて塩漬けにした。念のために、内臓を取り出した腹の中まで、しっかりと塩をなすりつけておいた。冷蔵庫に入れておく方法もあるらしいが、常温保存の方が発酵も早く進むらしい。
何しろはじめてのアンチョビ作りなので、ここから先は未知の世界。ネット情報によると、1~2カ月後に発酵したイワシを取り出して中骨を取り除いてから、保存用のオリーブオイルに漬け変えれば出来上がりらしい。アンチョビからにじみ出た汁は、アミノ酸たっぷりの魚醤なので、別のボトルにキープして料理などに使おうと思う。
一方、オイルサーディンは濃度10%の塩水にシコイワシを2時間ほど浸した後、ローリエやローズマリー、黒こしょう粒などと一緒にボウルに入れて、オリーブオイルで覆い尽くす。このボウルにアルミホイルでフタをして、圧力鍋で30~40分蒸せば完成。骨までやわらかく仕上がり、翌日からオープンサンドにパスタにと大活躍だった。
"梅の里"ならではの香り高い実を使って
その翌週の土曜日。永塚田んぼ団の安藤和夫さんから「隣のお宅の庭にある梅の実をとらせていただける」という素晴らしい情報をお聞きして、近所のKさん一家と連れ立って梅もぎへ出かけた。場所は小田原市永塚、当コラムの第35回でも紹介した小田原の有名な"梅の里"、下曽我地区のすぐ近くだ。
広い庭には、昔からの梅干し好適種だという「青軸」をはじめ、存在感たっぷりの古木がずらりと並んでいた。このお宅では毎シーズン200kg以上もの梅干しを仕込むそうだが、それでも梅の実は取りきれないので、「欲しい方がいたらどうぞ」ということになったそうだ。ありがたや。
取りに行ったときは、残念ながらちょうど土砂降りの時間帯だったので、ハシゴに上って梅の実をもぐと、そのショックで梅の葉にたまった雨水が頭上からドバッと落ちてくる。その度にウワーとかドヒャーとか叫んだりして、何だかコントのようだった。結局、梅は約10kgしか収穫できなかったが、雨は強くなるばかりだったので仕方ない。
翌日の日曜日も朝から雨だったため「今日は家にこもって、梅でいろいろな保存食を作ってみよう!」ということになった。梅干し、梅酒、梅シロップ、梅甘露煮、梅ジャム……インターネットのレシピや料理本を参考にしながら、家族全員でのんびりと梅遊びを楽しんだ。
6歳の娘は、梅の実を砂糖に漬けてエキスを抽出する梅シロップ作りを担当。梅の実の凹みに残ったホシと呼ばれる軸を取り除いたり、竹串を刺して穴をたくさん開けたりしながら、なにやらニヤニヤ笑っている。梅シロップが出来上がったら、ボトルを抱え込んで一気飲みしてやろう、なんてことを夢見ているのかもしれない。
梅干しは、青梅を4kgほど仕込んだ。昔よく梅干しを作っていた母によると、梅酢が上がってきてもそのままキープして、梅雨が明けたらザルの上に並べて天日干しにするらしい。太陽の光を浴びせ、夜露に濡らして三日三晩。うまく出来上がったら、まずは炊きたてのご飯にマイ梅干しをのせて頬張ろう。どうか早く梅雨が明けますように。