新幹線に乗る際、どの席を選べば快適なのか? 同じ料金を支払うのであれば、より快適に過ごせる席を選びたい。そこで今回は東海道新幹線の普通車指定席を例に、それぞれの席の特徴とメリットを紹介する。
より快適な席はどこか
まず、出張の際によくお世話になる普通車指定席は、A、B、C席の3列シートと、通路を挟んでD、E席の2列シートがある。第3回の記事でも書いたが、筆者はかつて、みどりの窓口でのきっぷ発売業務に携わっていた。きっぷを発売していた経験から言えば、ひとりで移動するビジネスパーソンに圧倒的に人気があるのは、2列シートの窓側であるE席だ。
E席側から富士山が眺められることから、ビジネスパーソンだけではなく、カップルや観光客にも人気がある。また、移動中にパソコンで仕事をするため、窓側の足元の壁についている電源コンセントの存在を重要視しているビジネスパーソンも多い。ジャケットを掛けることができるフックの存在もうれしいところだ。
そして、その次に人気があるのが、2列シートの通路側であるD席。D席は、お手洗いや喫煙などで席を立つ時に、隣の乗客に気を遣わなくてもいいことから、通路側を好む乗客からの支持が高い。
D・E席が取れなかった時は?
新幹線の指定席は、人気の高いE席やD席、あるいは、窓側を好む客が多いためA席から埋まっていく。どうしてもこれらの席に座りたいが空席がない場合、筆者なら「喫煙ルーム付近」の席で空席がないかを調べる。
列車内で喫煙したい場合、全車禁煙の東海道・山陽新幹線のN700系では喫煙ルーム利用になる。そこに近い席は、実は一般席とは別枠になっているのだ。
筆者がきっぷを発売していた時も、どうしてもE席がいいと申し出のあった乗客には、喫煙ルーム付近で空席がないか調べて案内していた。別枠であるため、存在に気づかれず空席を照会される可能性が低いので、運が良ければ空いている。もちろん、これはタバコの匂いを気にしない人に限る。
B席にもメリットはある
では、喫煙ルーム付近にも空席がなかった場合は、B・C席などに座ることになる。だが、実はこの3列シートにも、2列シートにはないメリットが存在する。
まず、最も敬遠されるであろうB席。B席は両側に人が座ることから、圧迫感を軽減するために、他の席よりもシート幅が3cm広くつくられている。わずかではあるが、他の席よりもゆったりと座ることができるのだ。
たった3cmかと思うかもしれないが、この3cmの差はかなり大きい。好まない人が多い席ではあるものの、メリットはちゃんと存在している。
通路側のD席とC席、どっちを選ぶ?
とはいえ、新幹線の指定席で最後まで売れ残るのは、敬遠されがちなB席ということが多いもの。混雑する朝夕を除いて、B席に人が座る可能性は低いと言えるだろう。
B席が空席の場合、A席やC席は、ゆったりと座れるのがメリットだ。通路側を好む人でD席を取りたがる人は多いが、B席に人がいない状況であれば、D席よりもC席の方が快適だ。E席とB席、どちらに人が来る可能性が高いかを考えてみれば、D席とC席のどちらを選べばいいか、もうお分かりだろう。
どうしてもコンセントを利用したい
また、ビジネスパーソンの中には、パソコンやスマートフォンを使うために、どうしても電源コンセントを利用したいという乗客もいる。そのため、窓側が満席で取れないと、がっかりする人は多い。
しかし、そこで諦めないでほしい。車両の一番前と後ろの席には、B・C・D席にもコンセントが備わっている。しかも、一番前の席には広々としたテーブルも備え付けられている。パソコン作業もしやすく、前の席の人を気遣うことなく作業に集中できるのだ。ビジネスパーソンにはもってこいの席だともいえる。
また、一番後ろの席にも背中側の壁にコンセントが備わっている。少し長いコードが必要だし、大きなテーブルは出すことはできないが、スーツケースなどの荷物を置くことができる。
自分の目的に合った席を選ぼう
このように、それぞれの席にメリットがある。E席を取りたいという申し出は多いが、仕事がしたい、お手洗いが近い、タバコが吸いたい、などのそれぞれの目的に合わせて指定席を取ることで、より快適な移動時間を確保できるだろう。
ちなみに、指定席は号車の指定もできる。筆者がビジネスパーソンにオススメしている号車は7号車。お手洗いや、ゴミ箱、喫煙ルーム、車掌室と何でもそろっている上に、エスカレーターや階段に近いからだ。東海道新幹線の駅はおおむね、ホーム中央部のグリーン車(16両編成だと8~10号車)に近い場所に階段、エスカレーターが設置されるよう設計されている。座席の位置だけでなく、車両の設備も併せて座席を選ぶと、より快適な移動となるだろう。
※写真はイメージで本文とは関係ありません。