日本人は「パッケージ」が得意だと、よく欧米人から感心される。たしかにインバウンド客と比べて、日本人旅行客が大きな荷物を抱えながら移動することは比較的少ないと言えそうだ。旅行日数の違いがあるかもしれないが、うまくコンパクトに荷物をまとめることは、日本人の得意技といえるだろう。
とはいえ、筆者にも経験があるのだが、ときには大きな荷物を抱えて新幹線に乗らなければならない事態も起こりうる。そのような場合は、どこへどう収納するのが「正解」なのだろうか。
■「機内持ち込みサイズ」なら荷物棚へ
まず考えられるのが荷物棚だ。基本は、ここに上げておくことになる。
しかし、大きすぎて収まらないのでは? という心配があるかもしれない。東海道・山陽・九州新幹線を走るN700系の荷物棚の奥行きは約45cmとなっている。実はこれ、100席以上ある航空機の機内にある荷物棚とほぼ同じ。ということは、「機内持ち込みサイズ」の荷物の大きさを参考にすれば良い。JAL・ANAともに55cm×40cm×25cm以内(一部例外あり)の荷物なら持ち込みができるとしている。
小型のキャリーバッグなど、この機内持ち込みサイズに合わせて大きさが決められていることが多い。そのため、新幹線でも安心して車内に持ち込むことができる。鉄道車両の荷物棚は窓側へ向かって傾斜が付けられているので、もう少し大きなものでも大丈夫なのだが、やはり限界があるので、不安を感じるようだったら他の場所を考えよう。また、基本的に区切りはないので、より長さがあるものでも収めることは可能だ。
■トランクなど大きな荷物は車端部へ
ちなみに、鉄道車内へ持ち込める荷物の大きさは、縦・横・高さの合計が250cm以内(長さ2m以内)となっている。ただし楽器やスキー板など、車内で立てておけるものは、長さの制限を超えて持ち込むこともできる。
どうしても大きなトランクなどを持ち込まなければならない場合は、列車の進行方向の一番後ろ。座席と壁との間にスペースがある。
ここに荷物を置きたい場合は、自身が座る座席もすぐ前の席を確保しておこう。そうでないと、他の乗客のリクライニングを妨げることにもなりかねないからだ。指定席なら「みどりの窓口」で「車両の一番後ろの席」と注文すれば良い。
■JR東日本の新幹線、大型荷物置場の場所は?
東海道・山陽・九州新幹線だと苦労しがちな大きな荷物の持ち込みだが、JR東日本がおもに運行する各新幹線(東北・山形・秋田新幹線、上越・北陸新幹線など)の場合、列車内に荷物置場が設けられていることが多く、いくらか安心して利用できる。ただし、荷物棚と同じく「早い者勝ち」なので、やはり大きな荷物を持ち込む場合は、早めに乗り込むなどの配慮が必要となる。
まず、東北・北海道新幹線「はやぶさ」「やまびこ」などに使用されるE5系・H5系、北陸新幹線「かがやき」「はくたか」などに使用されるE7・W7系、秋田新幹線「こまち」の車両E6系では、それぞれ一部の号車内に大型荷物置場がある。ここならば、かなり大きなトランクでも収納可能だ。
E5系・H5系の大型荷物置場は、2・4・6・8号車とグリーン車の9号車に設置されている。普通車は東京寄りの車端部、グリーン車はデッキにあり、事前に近くの座席を指定しておくと安心だろう。
E7・W7系では、偶数の2・4・6・8・10号車の東京寄りと、グリーン車である11号車のデッキ部分に設けられている。E6系の大型荷物置場は13・15・17号車の東京寄りと、グリーン車の11号車のデッキ部分にある。
東北・上越新幹線で使用されるE2系、東北・山形新幹線で活躍するE3系の場合、デッキに荷物置場がある。ただし、席に座っていると目が届かない場所なので、荷物棚などに収納できる大きさなら、身近に置いておくほうが良いかもしれない。
なお、引退が近いE4系「Max」は2階建て車両ということもあり、客室の天井が他の車両より低く、荷物棚も小さめ。デッキの荷物置場もないので、本来なら大きな荷物を持っての乗車は避けたいところ。2・4・6・10・12・14号車には、一部だけだが平屋部分の席があるので、どうしても荷物が気になるのなら、この部分を指定すると良いだろう。
■荷物が多いときのコツは?
荷物を多めに持ち込むけれど、荷物棚に乗る程度の大きさの場合、乗り込んでから慌てないために、いくつかのコツがある。たとえば窓側の座席は荷物棚の真下になるため、じつは荷物の上げ下ろしが、体勢的にちょっと面倒だ。隣席が空席、あるいは知り合いが座っているなら問題ないが、そうでないと気を遣ってしまう。事前にわかっていれば、通路側の指定席を取っておくのも、ひとつの賢いやり方かもしれない。
また、荷物は「枕木方向」、つまりは進行方向に対して直角に長い辺がくるように置くようにしておきたい。前述した通り、新幹線の荷物棚は意外に奥行きがある。奥まで押し込んでしまうと、下ろすときに手間がかかってしまうことがある。できるだけ、手が届きやすいようにするのだ。
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