新幹線をお得に便利に利用する方法を紹介する当連載。今回は新幹線車両の普通車指定席の車内設備について、車両別にまとめてみた。知っているとちょっぴり得をした気分になる車両ごとの違いを比較してみよう。
車両ごとに座席幅・座席配置が異なっている
着席時、足もとにゆとりがあるかどうかは旅の快適さを決める重要なポイントとなる。新幹線の普通車の場合、標準的な座席間隔はJR東日本の車両が980mm、JR東海・JR西日本・JR九州の車両が1,040mm。私たちが腰を据える座席の標準的な幅は440mmとなる。
どうせ乗るなら少しでも広く……というのが乗客の心理。新幹線の普通車は多くの場合、横5列(2人掛け+3人掛け)の配置となっている。東京~新大阪間のような2時間半程度の移動なら、これでもまずまず広く感じる。
しかし、ここで特筆したいのは山陽・九州新幹線を直通する「みずほ」「さくら」用の車両だ。形式こそ東海道・山陽新幹線と同じN700系だが、座席のゆとりが大きく違う。座席間隔は1,040mmと標準的だが、指定席は一部列車を除き横4列(2人掛け+2人掛け)の座席を採用しているため、座席幅が465mmもあり、広々としている。在来線の特急列車ならグリーン車クラスの広さだ。
筆者も山陽新幹線を利用するときなど、同じ料金なら「みずほ」「さくら」に乗りたいと思い、ついついこれらの列車の時刻に予定を合わせるようになった。なお、同様の座席は山陽新幹線「こだま」の普通車指定席にもある。
また、在来線に直通する秋田新幹線「こまち」および山形新幹線「つばさ」用の車両(E6系・E3系)は、座席の幅こそ他の新幹線と同等だけれど、車体そのものの幅が狭い分、普通車の座席は横4列(2人掛け+2人掛け)の配置となっている。B席(3人掛けの真ん中の席)がなく、どの席に座ってもどちらか一方は隣人がいないことになるため、秋田・山形方面へ行かない場合でも、空いているなら利用してみると良いかもしれない。
東北新幹線「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」にもE6系・E3系が連結される場合があるので、時刻表などを参考にチョイスしてみよう。
座席周りの設備も違いがある
座席周りの細かい設備についても見てみよう。東海道・山陽新幹線の標準的な車両であるN700系・N700Aの場合、前席の背面にテーブル、その下に荷物入れの網袋があり、窓側の足もとには電源コンセント。これが座席周りの設備の基本といったところだ。ちなみにN700A(側面に描かれたロゴの「A」が大きい)は、既存のN700系からの改造車(ロゴの「A」が小さい)と比べてヘッドレストが大きくなっている。ただし、N700系・N700Aは共通運用のため、乗車する列車にどちらが入るかは運次第となる。
東北・北海道新幹線の車両E5系・H5系、北陸新幹線の車両E7系・W7系は座席のヘッドレストが上下可動式となっていて、体格に合わせて調節できる。JR東日本が所有する新幹線車両の中には、背ずりをリクライニングさせるだけではなく、座面を前方にスライドさせ、よりリラックスできる姿勢を取れる車両もある(E2系の一部車両やE3系など)。
JR東日本の新幹線車両では、荷物などを入れる網袋の横にカップホルダーも付いている。車内販売の飲料を買ったときなどに便利だ。一部車両を除き、網袋の横に黒いゴムの輪のようなものも付いている。これは何かと思えば、傘を差し込んでおける輪だという。雨の日に濡れた傘をどう置くか悩むところだが、これがあれば困らないだろう。
荷物置場や喫煙場所も気になる人は
移動の快適さを求める上で、電源コンセントやインターネット環境も重要だが、それだけでは決まらない。大荷物で移動する際、荷物の置き場所は気になる。東海道新幹線はいまのところデッキなどに荷物置場はなく、スーツケースをはじめ大きな荷物はおもに最後列座席の後ろへ置くことになる。
一方、JR東日本の新幹線車両は最近、座席の一部を取り外し、客室内に荷物置場を設置する傾向となった。一部車両ではデッキにも荷物置場がある。
喫煙者が気になるであろう喫煙ルームや喫煙車は現在、東海道・山陽新幹線の車両にのみ設置されている。N700系・N700Aでは予約時に喫煙ルーム近くの席を指定できる。近年は数を減らしているものの、700系を使用する列車の場合はいまでも喫煙車がある。その他の新幹線は全車禁煙。愛煙家は少々我慢が必要となる。
今回は新幹線の車内設備の違いについて簡単にまとめてみたが、乗車する車両について事前に調べるだけで、移動がさらに快適になるはず。鉄道ファン以外の皆さんもぜひ、自分が乗車する列車にどの車両が使用されるか、前もってチェックしてみてほしい。
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