秋冬の定番ジャケットといえばウールジャケット。サマーウールに比べ、生地に占める密度が高く、同じウールであっても印象はガラッと変わります。
そんな秋冬ウールジャケットの魅力は素材の特性による「表情があること」で、お洒落感を出しやすい点でしょう。
ところが、毛羽立ちの具合、重ね着のやり方次第では野暮ったく見えてしまうリスクも。そこには「秋冬ウールジャケットの着膨れ」が関係していました。読者の皆さんも、鏡に映ったジャケット姿が春夏に比べて野暮ったく見えたという経験がありませんか。
渋いおじさんに仕上がるウールジャケットの最適解を、『男の服選びがわかる本』(池田書店)の著者が解説します。
正解ポイント
・「毛羽立ち」と色のバランスを見よう
・重ね着は「薄手の服」を合わせよう
「毛羽立ち」と色のバランスを見よう
秋冬のウールジャケットはその厚みや毛羽立ちの具合がさまざま。不均一な短く太い糸で紡いだフランネル生地からくる毛羽立ちが特徴的です。
また、フランネルに似た生地感にサキソニーという生地もあります。こちらは毛先をカットしていく工程上、フランネルに比べて厚みが抑えられ、同じ毛羽立ちのウール生地と比較すると、厚みと表情がガラッと変わるのが面白いですね。
どちらの生地がNGという訳ではなく、毛羽立ちが強いフランネルならばダークカラーを選べば全身の印象を引き締めることが可能。
一方、生地の厚みを抑えられるサキソニーならば明るい色もOK。ここでのポイントは生地の厚みに合わせて、ジャケットの色を変えることです。
合わせるパンツはジャケットの色にかかわらずダークカラーがおすすめ。というのも秋冬ジャケットは春夏ものに比べて、生地感の影響から膨張して見えやすいものから。
同じようなジャケットであっても、生地の表情によって、コーディネートの正解は変わるのです。
重ね着は「薄手の服」を合わせよう
例えばシャツとセーターを秋冬ジャケットに合わせるとき、セーターの厚みによっては着膨れすることは想像にかたくありません。そこでハイゲージと呼ばれる細い糸で編まれた薄手のセーターを合わせたいのです。
逆にざっくりした編み地のローゲージや中間的な編み地のミディアムゲージでは、ジャケットも相まって着膨れが強調されてしまうのです。
もしハイゲージであっても着膨れが気になる場合、Vネックの首型を選びましょう。着膨れを解消するカギは、女性ファッション雑誌でよく登場する「3首」にあります。
体のパーツの中で細い「手首・足首・首」のうち、2つ以上の首を見せることを言います。なかでも秋冬のウールジャケットでは、上半身に厚みがくるため、首をスッキリ見せたいですね。
一方、重ね着ではなく、ジャケットのインナーとしてセーターを枚で着こなすならば、3首を気にする必要はありません。ただしジャケットの着膨れを抑えるため、ハイゲージのものを試着してみてください。
同じジャケットであっても、季節によって正解は変わります。着膨れしがちな秋冬のものは、「毛羽立ちのバランス」と「重ね着のやり方」を工夫して洗練された印象に仕上げましょう。