財務省、MBA留学、マッキンゼーを経て、2015年にスタートアップ企業・ウェルスナビを立ち上げた柴山和久さん。お金にまつわる独自のキャリアを生かしながら、現在は、資産を自動運用するサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の提供を通じて、誰でも手軽に資産形成ができる世の中を作ることにチャレンジしています。
"お金のプロ"であり多様なキャリアの経験者である柴山さんに、マイナビニュース読者の「お金」と「キャリア」についての質問にお答えいただきます。
Q. 先日、株価が急落したとき、あわてて投資信託を売ってしまいました。その後、売った投資信託が値上がりしてガッカリしました。将来に向けて、投資でお金を増やしたいのに、こんなことの繰り返しです。(40代・会社員・男性)
■ 柴山和久さんの回答
投資をしている方なら、ご質問者のような経験が一度はあるのではないでしょうか。私自身もかつて投資に失敗し、なぜそんな行動を取ってしまったのだろうと落ち込んだことがあります。
人が投資に失敗する大きな理由のひとつに、「損をしたくない」という感情があります。「損をすること」による心の痛みは、「得をすること」による喜びよりずっと大きいと言われています。ごくごく自然なこの感情が投資の成功を邪魔するのです。
スーパーに行ったとき、いつも使っている日用品が特売になっていたら、まとめて買っておこうと思うかもしれません。高いときに買い控えて、安いときに買い増すというのは自然な行為です。
ではこれが日用品ではなく、投資信託だったらどうでしょうか。価格が上がっているときは「まだ上がるかもしれない」と思って買い増したくなる人が多いでしょう。反対に、買ったときより価格が下がってくると、「これ以上損をしたくない」と感じて、手放したくなるのではないでしょうか。これでは、高く買って安く売ることになってしまいます。
スーパーの日用品なら冷静に判断できるのに、いざ投資信託(金融商品)となると、「損をしたくない」というごく自然な感情が、「正しい判断」を遠ざけてしまうのです。
投資をするときは、「損をしたくない」という感情をうまくコントロールすることが大切です。「つみたてNISA」や「自動積立サービス」のような仕組みを使って、毎月淡々と運用資金を積み上げていくのも一つの方法です。そして、相場がよいときも悪いときも、焦ることなくどっしりと構えていれば、長い目で資産を育てていけるはずです。
執筆者プロフィール : 柴山 和久(しばやま かずひさ)
「誰もが安心して手軽に利用できる次世代の金融インフラを築きたい」という想いから、プログラミングをイチから学び、2015年4月にウェルスナビ株式会社を設立。16年7月に世界水準の資産運用を自動化したロボアドバイザー「WealthNavi」、17年5月におつりで資産運用アプリ「マメタス」をリリース。
起業前には、日英の財務省で約10年勤務、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤め、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家を1年半サポート。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。
ロボアドバイザー「WealthNavi」の概要はこちら→https://www.wealthnavi.com/