「マドンナが『ライク・ア・ヴァージン』なら
俺は『ライク・ア・昇龍』だよ」(佐藤ポン語録より)
浅草に世界中のiStockphotoのフォトグラファーを招いて開催された「iStockalypse」撮影会に潜入した私は、限られた条件で、良い写真を撮ろうと努力する世界のフォトグラファーたちの真摯な姿勢に、どこか私と似たものを感じていた。そう、国は違えど、真のトップランナーたちは似ているのだ。
ぬいぐるみと風船を使い撮影を進めるフォトグラファーたちの姿に感心していると、今度は大勢のフォトグラファーたちが屋上へと昇っていく。その様は、まるでストックフォト界の頂点を目指す昇龍の群れのよう。ストックフォト長者=ストックフォト界制圧を視野に入れている私も、当然のごとく屋上に移動した。
そこでは、ずっと私が美人モデルだと勘違いして、いつか撮影をオファーしよう、いや少なくともお茶には誘おうとまで目論んでいた美人女性フォトグラファーが撮影を開始しようとしていた。モデルは正装したふたりの男女。空は晴れているのに、なぜか雨傘を持っている。理解不能だが、とりあえずフォトグラファーはかなりの美人なので、静観してみることにした。
女性フォトグラファーはストロボやレフ板などのセッティングを終えると、仲間のフォトグラファーたちを高い場所に登らせた。彼らは水が入ったペットボトルを手にしている。外国人はどこへ行くにもよくペットボトルの水を持ち歩いているが、それにしても量が多い。
「どんな激しい雨も、俺のBODYを貫けやしない」(佐藤ポン語録より)
女性フォトグラファーは何枚か試し撮りをした後に、高所にいるフォトグラファーたちに向けてカウントダウンを開始。「スリー! ツー! ワン! ゴー!!」。当然だが、私同様に流暢な英語だ。すると、ペットボトルを持っていたフォトグラファーたちが、モデルめがけて水を浴びせかけ、もの凄い量の雨を降らせた。すかさず女性フォトグラファーは高速でシャッターを切る。この撮影はペットボトルの水がなくなるまでの数秒で終了。映画やドラマの撮影で人工の雨を降らせる現場はよくあるが、まさかたった5名程度のスタッフで撮影を行なうストックフォトでも、これをやるとは思わなかった。「自分たちでできることは何でもやる」という彼らの姿勢には感心した。私も何でもやる精神で、この女性フォトグラファーをデートに誘いたい。
朝から続いた浅草でのiStockalypse潜入取材もついに終わった。現場では、世界のフォトグラファーたちかのテクニックや姿勢から、様々な何かを盗むことができた。そう、その何かを本当に血肉とすれば、ストックフォト長者への道もグッと近づくはずだ。浅草での撮影会は終わったが、iStockalypseはまだ続く。帰り際にiStockphotoのスタッフから、「次の撮影会の現場はホンモノの病院を使った撮影会だ」と聞いた。歓迎されているかどうかは定かではないが、もちろん潜入取材を敢行する。白衣の天使たちが私を待っているはずだ。
こうして、浅草の興奮冷めやらぬまま、次の潜入取材の準備(主に妄想)をしていた私に、奇跡のごとき新展開が訪れる。狂喜乱舞の予感。以下次回!