「撮影中は生きてるって気がするぜ」(佐藤ポン語録より)

しばらくするとモデルの準備が整い、撮影がスタートした。各フロアごとに大小さまざまなスタジオがあり、建物のあちこちからシャッターを切る音は聞こえてくるものの、不思議なことにほとんど笑い声は聞こえてこない。陽気な外国人が30人以上も集まっているというのになぜだろう?

iStockphotoによると、各フォトグラファーがひとつのスタジオで連続で撮影できる時間は約30分と決められているそうだ。30分に全てを賭け、フォトグラファーたちは戦闘モード。何もしていないけど、私も気持ちだけは負けじと戦闘モード。邪魔にならない限りは、誰かが撮影をしている間に横から写真を撮ることも可能なのだが、モデルに指示を出せるのは担当のフォトグラファーだけだという。

撮影スタート。撮影は真剣勝負

「俺も撮影機材も世界標準」(佐藤ポン語録より)

同じ場所にジッとしていても取材にならない(本当は所在無い)ので、会場内を見て回ることにした。撮影中のフォトグラファーはマジメな顔をしていて近寄れるような雰囲気ではない。このままでは世界の技を盗めない……。しばらく考え、遠くから探ってみることにした。まずは、彼らが使っている機材のチェックをしてみることにする。残念なことに、この状況では彼らの撮影技術を簡単に盗むことはできないが、機材くらいだったらチェックできる。

各スタジオを見て歩いて調査した結果、彼らが使っていたカメラでもっとも多かったのはキヤノン EOS 5D Mark2。もっと高価で高性能なフラッグシップモデルEOS 1Dシリーズという機種もあるのだが、なぜか5D Mark2だ。実はこのカメラ、私が使っているカメラと同じである。やはり孤高の天才である私は無意識下に世界のトップフォトグラファーたちとシンクロしていたようだ。機材レベルでは彼らと完全に肩を並べているという事実が、この撮影会で判明した。しかし、これではiStockphotoの審査に通らない理由が「機材ではなく、撮影技術」ということになってしまう。何かがおかしい。

そして、もうひとつの大手カメラメーカー「ニコン」のカメラだが、使っている人はあまり多くなかった。割合としては全体の2割程度だった。ほとんどのフォトグラファーはキヤノンを使用。同じメーカーのカメラを使うことで有利になる点として見られたのは、レンズの貸し借りやセッティングの情報共有などができるという部分。私が見かけたあるフォトグラファーは、撮影の合間にチームメンバーのレンズと交換して試し撮りをしたり、カメラ本体のセッティングについて話し合っていた。

次回も引き続きiStockalypse潜入を続行し、世界のフォトグラファーの技術を盗みまくる。

撮影中に近寄ると私の影ができてしまうため、あまり接近することはできない。向こう側でなにが行なわれているのか、見たい……