今日向かったのは、中野区にある「高砂湯」だ。JR中央線「中野」駅と東京メトロ丸ノ内線「新中野」駅の中間付近にあり、中野総合病院の裏手、住宅街にある銭湯である。各駅からは徒歩8~9分。同区の千代の湯や照の湯、天神湯、昭和浴場といった銭湯も歩ける距離にあるので、比較的銭湯に恵まれたエリアと言っていい。自分もこの辺りに住んでいたことがあるので、何度かこの高砂湯に足を運んだことがある。

  • 「高砂湯」へは、JR中央線「中野」駅または東京メトロ丸ノ内線「新中野」駅から徒歩8~9分

    「高砂湯」へは、JR中央線「中野」駅または東京メトロ丸ノ内線「新中野」駅から徒歩8~9分

平日開店直後でも大繁盛

コインランドリー併設。少し地味な入り口から下足場を通り、自動ドアから中へ。フロント式の銭湯となっており、こぢんまりしたロビーも見られる。ソファが6人分、テレビ、小さなドリンクケースとショーケースといった設備。男湯は左、女湯は右の脱衣所へ進む。

ロッカーは3面。縦長で、中にハンガーがついているロッカーもあるのはうれしい。中央に腰掛け。境目側に洗面台とTANITAのデジタル体重計。上には柱時計とテレビがあった。また、ほんの少しだが庭先へ出ることができ、自販機はこちらの外に設置されている。平日の開店直後にあたる時間の訪問であったが、相客は14~5人と大繁盛。

新しい露天風呂の薬湯でゆったりと

男湯のイメージ(S=シャワー)

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室内に入ろう。まず目立つのは、正面に拡がる富士山のペンキ絵。境目中央に山頂があたる、男湯女湯をまたいだ富士山で、モチーフは「三保の松原」(2015.7.13)となっている。壁は空色に塗られているので、一回り二回りも大きな絵に感じる。また、露天風呂方向の壁はガラス張りになっているので、採光もいい。その露天につながる通路の壁には赤富士のモザイクタイル画も施されている。

カランはボディソープ、リンスインシャンプー完備。「ゆ」のロゴの入った白桶が用いられている。シャワーは湯口の真下に伸びた白いレバーを奥や手前に押したり引いたりして湯を出すタイプで、東京の方ではやや珍しい。もちろん洗い場もピカピカに保たれている。

湯は、内湯は主浴槽がひとつ。バイブラバスや座風呂、電気風呂に分割されている。それと水風呂、別料金のサウナ。2015年にリニューアルされたという露天風呂は薬湯になっていて、この日は薬宝湯。庇や屋根はなく、広い空と煙突が間近に見ることができる。湯はどれも全体的に適温で入りやすく、42度くらいかと思う。熱くもなくぬるくもなく、ついつい長居してしまいそうな居心地の良さだ。

高砂湯は、富士山のペンキ絵、露天風呂やサウナ、清潔な店内と適温のお湯、比較的駅近……など、銭湯としてほとんどの面でポイントが高い。あまり派手にメディアに取り上げられることは少ないものの、誰にでもオススメできる名銭湯のひとつであることは間違いない。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。