今回の湯は、大田区の「幸の湯」。毎日6時から営業している、都内では貴重な朝風呂のある銭湯だ。品川駅から京急線で15分、「糀谷」駅から徒歩5分の、住宅街の中にある。神奈川との県境や羽田空港も近い。

「幸の湯」へは、京急線「糀谷」駅から徒歩5分

朝から繁盛

「天然温泉」のネオンサインが掲げられた入り口。入って左手に券売機が2台あるので、入浴券を購入する。サウナは別料金だ。正面にフロントがあり、その右脇が脱衣所の入り口になっている。ロビーにはテーブルと座るところ、テレビや自販機などがある。男湯左、女湯右へ進む。

せっかくなので訪問は朝風呂。平日の9時頃に行った。相客は10人以上おり、サウナの利用客が多いように見受けられた。夏の朝からサウナでひとっ風呂。素晴らしい。

脱衣所自体は広くはなく、ロッカーは2面。一部には角型の脱衣カゴも備えられている。中央に腰掛け。そのほか、鏡台、デジタル体重計、自販機、マッサージチェアなどの付帯設備が整っている。

露天風呂ももちろん天然温泉

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室に入ろう。奥に長い構造をしていて、正面左側に2階へ続く階段がある。サウナと水風呂はこちらから。水風呂は別途料金は必要ないはずだが、こうなっているとサウナ未利用客は少し使いづらい。ちょっと残念ではある。

2階分の高さがあるので、天井もそれなりに高い。鳥や鹿、虹を描いた鮮やかなチップタイル画が印象的だ。1階の浴槽は、ジェットバス中心の大きな主浴槽に、天然温泉を使った浅風呂。それに加えて、小さいが露天風呂もある。もちろんこちらも天然温泉だ。

大田区でよく見られる「黒湯」ではなく、無色で香りも特に感じない。露天エリアにあるイスでうたた寝するおじさんもいた。見た目や効能よりも、朝の風を感じながら入る湯が心地よい。

気づけば、世の子どもたちは夏休みに入ったらしい。子どもを保育園に送る時、いつも横断歩道に立っていた交通安全指導のおばさんがいないのを見て気づいた。早起きして、子どもと一緒に朝風呂してから出社、なんて芸当も可能。まだまだ夏は始まったばかりだ

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。