2017年。本年もよろしくお願いいたします。さて、銭湯業界は正月三が日、一般的に朝湯営業で盛り上がることはご存知の方も多いと思う。どこの銭湯にも、年末から年明けまでの変則営業時間が手書きで書き込まれたポスターが張り出されていた。
東京の銭湯は普段から朝湯営業のあるところはごくわずかなのだが、この時ばかりは大晦日の年越し営業や、元日、2日の午前中からの営業などで浮き足立つ。いつもの銭湯も昼前から来て見ると違って見えてくるものだ。ということで、年頭の一軒目は、1月2日。杉並区西荻窪にある「秀の湯」の朝湯にお邪魔してみた。
お年賀に酉の形をした石けん
秀の湯は、JR中央・総武線の「西荻窪」駅から歩いて10分ほど。北口から伸びる道をまっすぐ北に向かうと青梅街道に出る。それを渡ってすぐ、地域区民センターの隣ブロックにあるお風呂屋さんだ。店前にはPOP体を使った水色の看板とコインランドリー、自販機があるだけで、取り立てて目立つ外観というわけではないのだが、充実した設備と清潔感で杉並区内屈指の人気銭湯だ。
入口を入ると、下足ロッカー。券売機が2台ある。こちらで入浴券を買い、さらに自動ドアからロビーへ。入ってすぐ右手にフロントがあるので、こちらで券を渡す。新年ということで、お年賀として酉の形をした石けんを頂戴した。
ロビーには、イスが5脚くらいとマッサージチェア2台。ドリンクケース。子どもが遊べるようにぬいぐるみなど。テレビでは箱根駅伝が放送されていた。男湯は右手、女湯は左手の脱衣所へ進む。
ロッカーは4面。近年、リニューアルがあったわけではないと思うが、フローリングやロッカーなど、ピカピカに保たれているのは新年ならずともうれしい。背側には腰掛けとローテーブル。扇風機の隣に小さなテレビも設置されている。境目に洗面台とドライヤー。そのほか、デジタル体重計などが置かれている。訪問は11時頃だったが、さすがこの日は特に多く、20人近くの相客がいた。子連れ客が目立っていたのも印象的だった。
新年一番風呂にもぴったりの美しい白
湯は壁側に沿ってL字で配置。奥側に炭酸泉の露天風呂。脱衣所側に別料金のサウナがある。薬風呂やジェットバスなど、一通りの種類はそろっており、湯の温度は41度くらいか(薬風呂はこれより高く、露天風呂は低い)。小さな子どももゆっくり楽しめるちょうどいい温度だ。
露天風呂には1基だけだがカランもあり。真冬なのでさすがに使っている人はいなかったが、夏場は気持ちいいだろう。ボディソープ、リンスインシャンプーの備え付けあり。ペンキ絵のような装飾はないものの、白で統一された浴室内は明るく、新年の銭湯はじめがここで良かったとしみじみ思える。
帰宅してかばんを開けると、いただいた石けんの香りが中から広がった。新年気持ちを新たにして、今年もたくさんの銭湯にめぐりあいたいと思う。
※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。