会社に縛られることなく、もっと自由に生きるために。漠然と憧れる人も多い「セミリタイア」。その実現方法として、ごく普通のサラリーマンにこそ「不動産投資」が最もおすすめであることを伝え、前回は複数のパターンの物件を見ながら、どれくらい手元にお金が残るのかについてシミュレーションをしました。

最終回の今回は、セミリタイアを考える人が不動産投資で成功するために欠かせない5つの心得をお伝えします。

  • 不動産投資で成功するために欠かせない5つの心得

1.不動産投資の「今」を知ろう

例えば、2013~2014年頃から起きた不動産投資ブーム。アベノミクスを背景に、世界の投資家が日本に注目をし始め、そんな中、2013年9月にはオリンピックの東京開催が決定。

この頃、日本の不動産投資は大きな盛り上がりを見せました。ではその後、このブームはどうなったのでしょうか。読み解く鍵は「税金」の知識です。

不動産を売って利益を確定すると、総利益に対して「譲渡所得税」というものがかかります。この税金には「短期」と「長期」の2種類があり、税率は短期だと約39%、長期だと約20%と、実はかなりの開きがあるのです。

では、何をもって長期とするかですが、ざっくり言えば「5年以上持てば」長期の扱いとなり、物件を取得して5年以上経つと「税金も安くなるしそろそろ売ろうかな」という人が出てきやすくなるということです。

当時のブームから既に5年が経過。実は去年あたりから、お宝物件が出てきやすい状態にあると言えます。もちろん大前提として、相場が良い時でも不動産を見極める力がない人は失敗をしますし、相場があまり良くない時でも、見極める力がある人は成功をします。 ですが「今」を知っておくと、チャンスが増えることは間違いありません。日頃から社会の動きにアンテナをはっておくことは不可欠です。

2.「利回り・ROI・キャッシュフロー」で見極めろ

セミリタイアのための物件選びで重要なことは「数字」で判断すること。決して、マイホームを買うわけではないので、収益を生み出す物件として価値があるかどうかを、冷静に客観的事実で見極めるようにしましょう。

数多くある指標のうち、まずチェックすべきはズバリ「利回り」「ROI」「キャッシュフロー」の3つ。この連載では主に「キャッシュフロー」についてお伝えしてきましたが、「利回り」と「ROI」も重要な指標です。

利回りとは、投資した金額に対して、得られる見込み収益の割合のこと。不動産投資の世界では、購入金額に対してどのくらい家賃が得られるかを表す「表面利回り」をよく使います。

セミリタイアのための目標数値は10~12%です。表面利回り10~12%の物件は簡単には見つかりませんが、でも探せばある、という値です。

残りの「ROI」とは、Return On Investment、日本語で言うと「投資運用率」のことです。これは初期投資額に対してどれだけの利益が生まれるかという指標になります。

正しく計算するためには知識が必要になるので紹介までにとどめますが、「物件の資産価値」や「駅からの時間」といった馴染みのある指標だけで判断しないよう、くれぐれも気をつけてください。

3.「1000:100:10:3:1」の法則にのっとり、物件探しを

注目すべき指標がわかっても、簡単には理想の物件に出会えません。そこでみなさんに心得てほしいのが、私たちが授業で常に伝えている「1000:100:10:3:1」の法則です。

これは理想の物件に出会えるまでに行うべき行動の指標で、1000件の物件情報を見て、そのうち100件に絞って問い合わせを行い、その詳細情報からさらに10件に絞って現地見学を行い、さらに3件にまで絞って実際に買い付けを行い、そのうちの1件を購入できるようにしましょう、というものです。

1000件の物件情報を見る、と聞くと、気が遠くなる人もいるかもしれません。ですが、日々トレーニングをすれば、ほんの数秒でその物件がアリかナシか、判断できるようになります。

物件購入に妥協は禁物。セミリタイアの道が遠のくだけです。ここは愚直に数をこなし、理想の物件に出会うようにしましょう。

4.価格交渉は当たり前、物件を見極める力が鍵になる

不動産の面白いことの一つに、実は値段が決まっていないこと、があると思います。物件情報に1000万円と書いてあったとしても、それは売り主が「1000万円で売りたいです」と言っている価格にすぎません。実際には、ここから交渉をするわけです。

もちろん、交渉は単なるお願いではありません。知識を身につけ、不動産の価値を正しく判断し、相手を納得させられるよう賢く交渉する必要があります。

価格交渉テクニックは、授業では時間をかけてトレーニングする部分でもありますが、もし、先ほどの物件が仮に900万円で買えたとしたら、それだけで利回りも向上するわけです。

印鑑を押して契約をしてしまったら、もう価格交渉はできません。普段の生活では価格を交渉するという場面はほとんどないかもしれませんが、その固定概念を払拭し、交渉材料を一つでも多く集め、納得できる価格を自らの意志で勝ち取りましょう。

5.融資を制するものは不動産を制する! 金融機関のジャッジポイントは?

実際に不動産投資をするとなると、ほとんどの人が金融機関からお金を借りることになると思います。そこで、金融機関がどんな観点から融資条件を決めるのかを知っておくことは、成功の鍵となります。

金融機関がジャッジするポイントは大きく分けて2つあります。まず一つ目は、物件そのものに対してです。当たり前と言えば当たり前ですが、いまいちな物件を持っていこうものなら、その時点で「あ、この人は不動産を見る目がないんだな」とシャッターをおろされてしまいます。

そしてもう一つのポイントが、あなた自身です。あなた自身、というと、多くの人は「属性」で判断されると思いがちですが、実は属性以外にも、お金との付き合い方など、非常に多くのポイントを見られています。

授業では融資を好条件で受けるためのプレゼンテーション方法も学びますが、この記事を読んでいるみなさんが、今すぐにできることとしては、日々の家計管理をまずはきちんと行うことが挙げられます。

クレジットカードの引き落とし日に残高が足りなかったとか、スマホの分割払いが遅れてしまった、といったことは、たった1回でも「レッドカード!」、一発退場です。あなたの大切な信用情報に傷がつかないよう、くれぐれも注意してください。

もちろん物件を手に入れた後も、物件の管理や空室対策、リフォームによる価値向上、保険や税金対策まで考えるべきことはたくさんあります。

こういった多くの必要な知識を前に、少し尻込みしてしまう人もいるかもしれませんが、セミリタイアを実現した受講生が口をそろえて言うのが「不動産投資は一度知識を身につけてしまえば、何度でも成功を再現できる」ということ。

どこかの時期に集中して知識を身につけ、それをもとに実践をすることで、後々の人生は、とても自由なものになるのです。セミリタイアは決して特別な人だけのものではありません。あなたの決断一つで、道は拓かれるのです。

ファイナンシャルアカデミー

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