香港に行くなら、ちょっと脚を伸ばしてマカオへ
香港はアジア有数の経済都市。20世紀のイギリス統治が終わり中国に返還されてからも返還前の経済・行政システムを維持、一国二制度の地域としてアジア経済の拠点となっている。その香港は、買い物とグルメの街として、日本人観光客にも人気が高い。だが、エネルギッシュな香港の喧騒は楽しい一方で、ブラブラと旅先を散策が好き、というには少々疲れる街でもある。そこで、ブラブラと知らない街を散策するのが好きな人にオススメなのが香港から気軽に行けるもう1つの一国二制度の地域、マカオなのである。
香港は、ほんの10年ほど前まで英国領。もっともそれを感じるのがこれだろう。香港内を走るバスは、イギリスと同じダブルデッカー(2階建て車両)。さらに、香港は路面電車も2階建て。2階建ての路面電車は世界的に見ても珍しい |
香港返還と同じ1997年にポルトガルから中国へと返還されたマカオは、香港とも中国とも異なる経済・行政システムを持っており、香港同様、返還後50年間、一国二制度が認められている特別行政区だ。そのマカオ経済を支えているのが「カジノ」。2006年、売り上げがラスベガスを超えたというマカオのカジノは、マカオのみならず中国本国にとっても重要な外貨獲得の手段となっている。
マカオはアジア有数の歓楽街。中央の不思議な形をした建築中の建物は、マカオの老舗カジノホテル「ホテルリスボア」の新館「グランドリスボア」でこの近辺にはカジノホテルが乱立している。なおグランドリスボアは建築中(2007年末開業予定)だが、すでに下層階ではカジノを営業中 |
そんなわけで、カジノ好き、夜遊び好きの人にとって日本からも近いマカオは、夢のような街なのであるが(夢から現実に戻った時にがく然とする人も多いようだが)、実はマカオにはもう1つの顔がある。マカオは長らくポルトガル領だっただけに、中国にありながら中国とは異なる、ポルトガルの影響を強く受けた独自の文化が発展した。その独自のヨーロッパと中国の文化が融合した町並みは世界遺産に指定されており、カジノや夜遊びには興味ないという人にも、是非とも訪れてほしい街なのである。
マカオはポルトガルの影響を強く受けており、町並みも建物も全然中国らしくない。ポルトガルの影響を強く受けた町並みが今も数多く残っている |
道路標識や街中の看板もよく見ると、中国語とポルトガル語で表記してあることが多い。英語の看板はほとんどないので、初めてだとちょっと戸惑う |
マカオへは現在、関西国際空港から直行便が就航している。だが、香港からフェリーで行く方法を多くの観光客は好むだろう。香港とマカオの2都市を楽しめるうえに、香港ならば格安航空券やツアーがたくさんあるので簡単に行けるからだ。マカオは小さな街なので、香港のホテルに大きな荷物を置いたまま、マカオで昼間は町並みを観光、夜はカジノといった楽しみ方も可能だ。
マカオ行きのフェリーやホテルは、香港のフェリーターミナルにある旅行社で簡単に手配できる。そのため、数日の香港旅行、あるいは香港や中国・深センに出張した空き時間ができた際に、気軽にマカオに行くことができるのだ(ただし、時間に制約のある旅の場合、予め予約しておいたほうが確実だろう)。
マカオは中国ではあるが、香港と同じく特別行政区ということで、外国人にとって香港からマカオは海外旅行と同じ。だから、香港のフェリーターミナルで香港の出国手続き、マカオでは入国手続きが必要になる。香港のホテルにパスポートを忘れた、なんてことがないように注意しよう。フェリーに乗り込んだら、昼寝するも良し、船内販売している中国のカップ麺にチャレンジするも良し。約1時間でマカオのフェリーターミナルに到着する。
今回はここまで。次回は「セナド広場」をはじめ、マカオの世界遺産の魅力をお伝えする。