前回はいきなりウィンブルドン観戦について紹介してしまったが、今度こそロンドンの世界遺産についてお話しよう。
ロンドン市内を個人旅行するなら、地下鉄が便利だ。ロンドンの地下鉄は、ゾーン(区域)によって運賃が決まっている。市内の有名どころは、ほとんどがゾーン1~2のエリア内にある。さらに、1日3回以上乗るなら、公共の交通機関が乗り放題になるトラベルカード1日券を買っておいたほうがお得だ。つまり、散策するならゾーン1~2のトラベルカードを購入しておけば、問題ないというわけである。これなら、慣れない海外でいちいちチケットを購入する手間も省けていい。
ロンドンの地下鉄は"TUBE"という名称で親しまれているように、駅も列車も丸い形をしている。乗ってみると結構こじんまりした感じ。ちなみに写真は、地下鉄の「ベーカーストリート」駅構内。そう、あのシャーロック・ホームズの舞台となったベーカー街である |
トラベルカードを手に入れて、無事に地下鉄に乗ったら、まず向かう先はウェストミンスター駅である。このウェストミンスター駅を上がるとドーンとそびえ立つのが、ご存じビッグベンだ。ここがロンドン世界遺産巡り第1弾、ウェストミンスター宮殿である。
(左)ドーンとそびえ立つビッグベン。ロンドンに来たなーと実感できる。ちなみにビッグベンとは時計台の「大きな鐘」のこと。この時計台がある建物は、国会議事堂である(上)ビッグベンの前を流れるのがテムズ川。いかにもヨーロッパ! って感じの景色が広がり、ロンドンにいることを実感できる |
ビッグベンの横をロンドン名物ダブルデッカー(二階建てバス)が走る、よく見かける写真。テムズ川にかかる橋を渡って行くと、このアングルになる。あとは、ダブルデッカーが通るタイミングでシャッターを押せば、簡単に定番写真の出来上がり(笑) |
テムズ川側からビッグベンを眺めてロンドン気分を堪能したら、ビッグベンの向こう側に歩いていってみよう。すると、ビッグベンの背後にゴシック様式の荘厳な建築物が見えてくる。これが、イギリス国教会の僧院、ウェストミンスター寺院である。
国会議事堂に隣接するウェストミンスター寺院は、イギリス国教会の教会。戴冠式など、イギリス王室の王室行事が執り行われる |
芝生の緑にそびえ立つゴシック建築のウェストミンスター寺院。ちなみに、この近くには、カトリック教会のウェストミンスター大聖堂もあるが、寺院(Abbey)と大聖堂(Cathedral)はまったく別物である |
実はこの時、僕はすっかり時差ボケで、日本では滅多にしない早起きをしている。そこで、せっかく早起きしたのだからと、そのままバッキンガム宮殿に向かうことにした。バッキンガム宮殿は、ウェストミンスター寺院からセントジェームズパークを抜けた先にある。朝のすがすがしい空気を感じながら公園を散策してみた。
緑が美しいセントジェームズパーク。ロンドンは是非、芝生のきれいな時期に行ってほしい。日差しはきついが、湿度は低いので本当に気分がいい |
公園の中で見慣れない一団に遭遇。実は、これこそバッキンガム宮殿に向かうことにした目的なのである |
こうして気分よくセントジェームズパークを抜けた先にあるのが、現イギリス国王、エリザベス女王の居城、バッキンガム宮殿である。ちなみに、地下鉄でバッキンガム宮殿へ行くなら、ビクトリア駅かグリーンパーク駅、またはセントジェームス駅あたりから歩いてくることになる。
バッキンガム宮殿といえば、衛兵交代式である。衛兵交代式は、4~7月は1日1回、それ以外の時期は2日に1回、午前11時ぐらいから行われる(時期や曜日によって異なるので注意)。この衛兵交代式には、世界中から観光客が押し寄せるので、前で見たければ早めに行ったほうがいいのだ。そこで、せっかく時差ボケのおかげで早起きしてるんだし、と早めにやってきたわけだ。
正門脇の最前列に陣取り、早起きのせいで眠くなりつつも小1時間待って、ようやく衛兵交代式スタート。おー! と思ったのもつかの間…… |
交代式は柵の向こう側で行われるので、いまいち良く見えない……。でも、とりあえずテレビでしか見たことのなかった儀式を間近で見れて感動 |
というわけで、世界遺産ではないけれど、無事、衛兵交代式を見れて大満足。何しろ僕、早起きは苦手なので、どこの国に行っても、午前中のイベントにはなかなかお目にかかれない。まあ、それはさておき、世界遺産巡り再開である。また地下鉄に乗り、次に目指す駅は、タワーヒル駅である。ここにあるのが、世界遺産に指定されているロンドン塔である。
ロンドン塔の中には、多数の古い建物があり、その1つ1つが博物館として利用されている。狭いので距離的には歩けるのだが、観光客が多いので結構疲れる |
これはホワイトタワー。内部には、ロンドン最古といわれる教会がある |
(左)バッキンガムの人ごみでなくても、ここなら間近で衛兵を見ることができる。当然、カメラを向けても、にこりともしてくれない(上)古い衣装を着て写真撮影に応じてくれる女性。こんな時は英語が話せなくても、恥ずかしがらずにカメラを持って行き、撮影をお願いしてみよう(ただしお礼の言葉は忘れずに) |
こんな感じでロンドンの世界遺産巡りは地下鉄+徒歩でプラプラするのが楽しいのである。さすがに世界の大都市だけあって、英語の苦手な外国人でも看板や地図を頼りに十分独り歩きができる(もちろん英語が話せたほうがさらに楽しめるのだが)。ロンドンを実際に歩いてみると、見どころは狭い地域に集まっていることがわかる。だから、歩いて迷っているだけでも楽しめるのである。
ほかにも、今回は紹介しなかったが、大英博物館に行けば、世界中から集められた物が所狭しと並んでおり、以前紹介した米メトロポリタンとはまた違った趣がある。また、ロンドンは世界の流行の発信地だけに、ショッピングも存分に楽しめる。ロンドンは、世界の政治、経済、文化を長く牽引してきた都市。見どころ満載で、どんな人でも自分なりの世界遺産を見つけることが、ここならできるのである。