この連載、ずっとアジアを行ったり来たりしていたが、今回はいよいよ太平洋を渡り、アメリカ大陸上陸である。アメリカといえば、やはりニューヨークである。なぜ「やはり」かというと、僕が好きな街だから、である。

ニューヨークは、アメリカ全土のみならず、世界中から人や物が集まる、いわずと知れた世界一の経済都市だ。狭い狭いマンハッタン島に立ち並ぶ高層ビル、世界中のさまざな国から集まったものすごい数の人。そんな街並みは歩いているだけで、本当に楽しい。

ニューヨークといえば、ここという人も多いだろう。タイムズスクエアの中(写真でいうとHSBCの看板の下あたり)にあるTKTSではブロードウェイなどのミュージカルの当日券を半額などの割引で買える。意外と人気のあるショーでも当日券を買えることが多い(ただし、あまりいい席ではない)

歴史ある建物の中にブランドショップや個性的なお店が入っているソーホーは、ウインドウショッピングが楽しい。買い物しない人でも、歩いているだけで、アメリカ! って気分を堪能できる

人気があるかどうかは知らないが、さすがに世界一の大都市と実感できる国連本部。街中を歩いていると、突然テレビや教科書などでお馴染みの建物に出会うので、初めて訪れてもなんとなく初めての気がしないのが、ニューヨークの楽しいところ

国連本部の中を見学することもできる。ただし、1人で国連本部内を歩くことはできず、入り口でグループに分けられて、ガイドの案内に従って見学する。曜日によっては、日本語ガイドの案内もあるので、スケジュールをウェブサイト等で確認しておこう

ニューヨークについては、書きたいことがいっぱいあるのだが、この連載のテーマは世界遺産である。で、ニューヨークのような大都会に世界遺産があるのか、というと、実はあるのだ。「自由の女神像」である。

実は、僕、自由の女神が世界遺産だということを最近知った。ま、世界遺産であってもなくても、やはりニューヨークに行ったからには一度は見ておきたい

自由の女神を間近で見たければ、夏の朝が一番である。というのも、ニューヨークの冬はめちゃくちゃ寒い。そんな時に海に浮かぶ自由の女神像まで行くのは、はっきりいって拷問である。では、なぜ早朝かというと、何しろ自由の女神、世界中の有名人である。夏の休暇シーズンは、世界中から観光客が押し寄せ、3時間、4時間待たされるのは当たり前。というわけで、お客さんの少ない朝行かないと、真夏の太陽の下で3時間も待たされるのは、はっきりいって拷問である。

というわけで、6時過ぎにタイムズスクエア近くのホテルを出発した僕は、地下鉄に乗ってバッテリーパークのあるマンハッタンの先端部に向かった。ところで、ニューヨークの地下鉄は怖いという印象があるかもしれない。だが、近年ずいぶん整備されており、昼間の人の多い時間帯なら旅行者でも安心して利用できる。結構路線が複雑なので、駅のインフォメーションなどで最新の路線図を入手しておこう。

自由の女神像はマンハッタン島から少し離れた小島に建っている。その小島へ向かうフェリーが出ているのが、マンハッタン島の南端にあるバッテリーパークである

のどかなバッテリーパークの向こうには世界経済の中心であるウォールストリートがある。歩いているだけで、目の前の光景がドラスティックに変化するから、ニューヨークの街歩きは飽きることがない

さて、7時前にバッテリーパークに到着し、1時間ほど並んでフェリーに乗船。朝のバッテリーパークは海風が心地よくて、並ぶのもあまり苦にならない。同時多発テロ以降、セキュリティが強化されていて、手荷物検査などに結構時間がかかる。身分書の提示を求められることもあるので、パスポートを持っていこう。

フェリー乗り場で並んでいる人たち。ちなみに、自由の女神のティアラを被っていなくても、乗船券(11.5ドル)さえ持っていればフェリーにちゃんと乗ることができる(当たり前)

こんなフェリーで自由の女神に向かう。甲板から眺めていると、どんどん自由の女神が近づいてきて、その大きさには結構驚かされる

ようやくフェリーに乗り込んだ僕がまず向かった先は、自由の女神のあるリバティ島だ。ちなみに、この島には自由の女神以外、ほとんど何もない。で、自由の女神はというと、同時多発テロ以降、内部への入場は制限されている。ちなみに、僕がここを訪れたのは、同時多発テロの翌年で、自由の女神像内への立ち入りは禁じられていた。

なお、今では内部の見学も復活しているそうだ。ただし、入場者数が制限されているので、どうしても内部を見たい人は、あらかじめ旅行会社などを通じて、アクセスパスを購入しておこう。もっとも、内部を見なくても目の前にそびえ立つ自由の女神は圧巻。充分に楽しめるはずだ。

(上)フェリーがリバティ島に近づくと、自由の女神の大きさに驚く。写真下に写っている豆粒のような人と比べると、自由の女神の巨大さがわかるだろう(右)リバティ島に立って、自由の女神を足元から仰ぎ見ると、すごい迫力。「ニューヨークへ行きたいか~~」って、今はなき某クイズ番組の興奮がちょっとよみがえる

間近で見る自由の女神を堪能したら、またフェリーに乗船。次に向かう先はエリス島だ。エリス島は、リバティ島のすぐ近くにある小さな島で、かつて移民管理局が置かれていた島。今は、博物館になっており、自由の女神やニューヨークの歴史を学ぶことができる。

リバティ島からエリス島へフェリーで移動。なお、バッテリーパークで買ったフェリーチケットは周遊券なので、リバティ島からエリス島、バッテリーパークへ戻るまで、このチケットでOK

ニューヨークの街ができた頃、新天地を求めてニューヨークにやってきた移民たちは、まずこのエリス島に下り立ったわけだ

早起きして少々疲れたところでもあったので、エリス島から自由の女神を眺めながら、しばし休憩。見知らぬ街の公園で、ボーっと休憩している時こそ、自分が海外にいることを実感できる瞬間だと思う

という感じで、ニューヨークの世界遺産、自由の女神観光は、ゆっくり見て回っても半日もあればOK。お昼、夜ご飯はマンハッタン島に戻って、ソーホー辺りでとるのがいいだろう(エリス島あたりだと混んでるし、値段も観光地価格だったりするので)。というわけで、今回の世界遺産はおしまい、というのでは、少々寂しい。そこで、次回は世界中からあらゆる物が集まるニューヨークでの"遺跡"巡りについてお伝えする。