以前、ネックストレスが内臓に悪影響を及ぼすというお話をさせていただきました。姿勢が悪くなると肺が圧迫されて位置や形が変わってしまい、その結果さまざまな内臓の不調を招いてしまうのです。
中でも影響が出やすい部位が胃と腸です。消化不良や食後のむかつき、ひどくなると逆流性食道炎などの病気を引き起こすこともあります。
ただ、胃腸の不調が招くのはそのような病気だけではありません。実は、逆に胃腸の不調が姿勢に悪影響を及ぼすこともあるのです。今回はその理由と、胃腸の状態を改善する食事についてご紹介します。
胃腸の調子が悪いと前かがみの姿勢に
お腹が痛くなったときのことを思い出してみましょう。お腹を抱えるように前かがみの姿勢になっていませんか? 猫背とも言えるこの姿勢は首に負担をかけます。
もちろんお腹を押さえて前かがみになるほどの腹痛は頻繁に起こるものではありません。もし頻繁にそのような痛みを感じているのであれば、何かしらの病気を抱えている可能性が高いので早急に医療機関を受診するべきです。
しかし病院に行くほどでもないほどの胃腸の痛み、さらには痛みとすら認識されないほどの胃腸の不調を抱えている場合でも、知らずしらずのうちに姿勢が悪くなっていることがあります。弱っている部位を守ろうという体の防衛本能が働いているんですね。
慢性的な胃痛や腹痛を抱えている人は要注意です。姿勢の改善も大切ですが、胃腸の調子を整えるための対策も行う必要があるでしょう。
食生活から胃腸の不調を整える
胃腸の状態を改善するストレッチもありますが、食生活を見直すことも大切です。特に摂(と)ることを意識してほしいのが「発酵食品」「乳酸菌」「食物繊維」の3つ。それぞれがどのような役割を持っており、どのような食べ物から摂取すればよいかを解説いたします。
1.発酵食品
発酵食品とは、カビや酵母などの微生物の働きによって、食材を変化させた食品のことです。元の食材より保存性がよくなり、栄養価もアップします。それだけでなく、発酵食品は腸内細菌のエサになるため、腸内の環境を整えてくれる腸内細菌を効果的に増やすことができるのです。
ただし、牛乳を使用した発酵食品はあまりおすすめできません。牛乳の成分である乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が不足している人が多く、消化機能に悪影響を及ぼしかねないからです。納豆やキムチなどの保存食、味噌や醤油などの調味料を有効活用しましょう。
2.乳酸菌
乳酸菌は、炭水化物などの糖を消費して乳酸をつくる細菌の総称です。ビフィズス菌やシロタ株などが有名ですね。腸の働きを活性化し、便秘や下痢の症状改善などが見込めます。
乳酸菌を摂るのにオススメの食べ物が漬物やキムチです。毎日少量ずつ食べるのが乳酸菌を摂取する効果的な方法。塩分も高めなので、一日にたくさん食べることは控えましょう。
3. 食物繊維
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があり、両方をバランスよく摂ることが大切です。水溶性食物繊維はわかめやひじき、らっきょうなど、不溶性食物繊維はキャベツやレタス、ほうれん草、筍、エリンギ、大豆などに多く含まれます。また、ごぼうや人参、じゃがいも、キウイ、アボカド、なめこ、プルーン、納豆などには両方が多く含まれているので、手軽に食物繊維を摂取することができますよ。
腸内環境が全身に与える影響
発酵食品、乳酸菌、食物繊維は主に腸内の環境を整えるために摂りたいものです。腸内の環境が整えば、体を作るもととなる、ビタミン・ミネラルをはじめとした栄養の吸収効率も良くなります。
体内に吸収された栄養は、まず生命を維持するための機能に優先的に使われます。その余った分が生命維持には直接関係のない、たとえばちょっとした内臓や筋肉へのダメージの修復やお肌のターンオーバー等に使われるのです。つまり、吸収された栄養が少なければ少ないほど、生命を脅かさないダメージの修復は後回しにされます。
そのダメージが溜まってしまうと、胃痛のように痛みや不調として現れるようになります。腸の調子を整えることが、結果として全身の健康につながるというわけですね。
今回ご紹介した食べ物は、スーパー等で手軽に手に入れることができるほか、ネットスーパーなどを利用すれば自宅にいながら依頼することが可能です。ぜひ今日から試してみてください。