前回までは、ネックストレスが原因となって出やすい首・肩のこり、腰痛、膝の痛みといった症状についてご紹介してまいりました。今回は、ネックストレス由来の意外な症状についてご紹介します。もちろん対処法もご紹介いたしますので、心当たりがある場合はぜひ試してみてくださいね。
膝の痛みの原因が手首に!?
当たり前ですが、体のそれぞれの部位はつながっています。たとえばマンションであれば、地下深くの基礎のゆがみが地上階の壁のひびの原因となることがあるように、実際に痛みが出ている部位とは全く異なる部位が原因のケースがあるのです。
人体の場合は、体の各部位が連鎖して痛みや不調につながっているのももちろんですが、その人自身の体の使い方のクセや、痛みや違和感があった際にかばうクセなどが原因の一つになっている場合もあります。つまり、ネックストレスが引き起こした痛みや違和感をかばい、他の部位が痛くなる……なんていう負の連鎖が起きかねないのです。
姿勢が悪くなることで内臓の位置が変わる
今までご紹介してきた痛みや不調が出る箇所は、いわゆる外科的な部分です。今度は体の内側、「内臓」に目を向けていきたいと思います。
ネックストレスがかかると、姿勢が悪くなります。背中を丸める姿勢をとることで、首にかかっている負担を分散させようとするからです。この背中を丸めた姿勢が、内臓を圧迫してしまいます。
最初に影響を受けるのは肺です。前かがみになることで上から押し付けられる形になり、本来より位置が下方向にズレてしまいます。とはいえ、肺の下には横隔膜がありますので、押し付ければ押し付けるほど位置が変わるわけではありません。ある程度で止まります。しかし、姿勢の悪さによる上からの圧迫は続きますので、結果として肺の形が変わります。
肺の形が変わると、その分他の内臓の位置も変わってしまいます。肋骨の中に綺麗に納められていた内臓が、肺の位置と形の変化をきっかけに、本来の位置からどんどん移動してしまうのです。そう聞くと、少し怖く感じてしまいますよね。
内臓の位置が変わるとどんな症状が出るのか
最も影響を受けやすい内臓は胃です。消化不良や食後のむかつきをはじめ、逆流性食道炎などの病気を引き起こすこともあります。また、影響が腸にまでおよび、くだしやすくなったり逆に便秘になりやすくなったりします。
また、肺の形や位置が変わったことにより、呼吸がしづらくなります。呼吸のしづらさは眠りにくさや疲れのとれにくさにつながりますので、さらなる不調を招く可能性も。早めに対処することが大切です。
内臓位置の変化の改善に重力を利用しよう
もちろん、内臓の位置はある日突然変わるものではありません。そもそも姿勢自体も次第に悪くなっていくものですので、その変化に従って変わっていきます。なかなか「自分の内臓の位置が昔と比べて変わっている」と気づけるものではありませんが、姿勢の悪さや胃腸の調子の悪さ、寝付きの悪さなどを感じているのであれば、毎日の位置のズレをリセットしましょう。
最も簡単なリセットの手段は「ジャンプ」。内臓は、体内で様々な筋肉にぶら下がっている状態になっています。つまり、重力の影響をかなり受けている状態です。重力と逆向きの負荷をかけることで、内臓の移動をリセットできます。そのための運動には様々なものがありますが、最も簡単な運動がジャンプです。逆立ちができる環境にある方は、逆立ちもおすすめですよ。
マンションやアパートにお住まいでなかなかジャンプや逆立ちがしづらいという場合は、「四つん這いで歩く運動」をしてみてください。
重要なのは、できるだけ力を抜くこと。力が入って腰が上がった状態はNGです。
リラックスしながら、ゆったりとした気分でやってみてくださいね。
日常生活に置いて気をつけたいのは、「常に同じ姿勢をとり続けない」ということ。たとえば、「いつも同じ側の脚を組んでいる」「いつも右側を下にして横向きに寝ている」といった自分のクセを認識したうえで、意識して自分のクセと異なる姿勢をとるようにすると良いでしょう。ぜひ今日から、試してみてください。