今年は、夏が終わって涼しくなってきたなと思ったらあっという間に冬でしたね。みなさんのクローゼット、今は万全の秋冬モードでしょうか。
クローゼットの整理収納をお手伝いしていると、「必要な服だけ都度ひっぱり出して、着ているうちに季節が変わってしまった」という声もわりとよく聞きます。夏冬ごちゃ混ぜ、というほどではなくても、しまい損ねた一部の夏服が実はまだ残っている、というおうちは案外多い気がしますね。
冬服は夏服と比べて嵩があるので、引き出しもハンガースペースもぎゅうぎゅうになりがちです。「ぎゅうぎゅう」というのは、片づけをめんどくさくする代表選手。一度出した服を洗った後の「戻す」動作が、「ぎゅうぎゅう」のせいで億劫になるんですね。クローゼットに戻さず手前に置きはじめると、クローゼットの扉も開けづらくなっちゃって、次第にそこにある服だけでヘビロテし始めたりして……。
クローゼットが着ない服の保管場所になってしまうのは残念過ぎます。ぎゅうぎゅうの状態にさよならして、今着る服をしまって自由に選ぶことのできるクローゼットに変えませんか?
洋服を捨てるのが苦手、という人も大丈夫。迷わず、つらくならずにできる衣類整理のコツを解説します。
捨てなくていいから「今着る服」をちゃんと選ぶ
クローゼットの主役は「今着る服」です。なので、収まっている服を一度ぜんぶ出して「着るか/着ないか」に分けてください。
[1]「着る」服
絶対着る、ないと困る
[2]「着ない」服(手放す)
もう絶対着ないし、捨てることに抵抗もない
[3]「着ない」服(迷う)
着るか着ないかで言ったら着ない可能性が高いけど、捨てるのは躊躇いがある。もしかしたらワンチャン着るかも? もう少し様子を見たい、でも積極的に着たいわけではない。
まずはオンシーズン服から、ここから3カ月弱、本当に着るかどうかを現実的に判断していきましょう。
「捨てて減らすぞー! 」と鼻息荒く片づけを始めてみたものの、いざ出してみると思ったほど踏ん切りがつかないのは、よくあること。わたしも、整理収納の現場でよく遭遇します。「なるほど、そうきたか」くらいに受けとめてください。
そういうときにいちばんダメなのが、「どうしよう……捨てないと減らないし、捨てたほうがいいのかな」と、いちいち手を止めて葛藤すること。そんなことをしていたら、あっという間に気力が尽きてしまいます。考えるのは5秒まで。「迷う」が増えてもいいので、粛々と手を動かしましょう。
着ないものは、「手放す」か「迷う」かで避けておけば大丈夫。主役は「今着る服」ですから。「着る服」と「着るかもしれない服」「できれば着たい服」が混じっているせいで、クローゼットがぎゅうぎゅうになっているのが現状。「今ぜったい着る」以外は「迷う」、ここをはっきり分けることが衣類整理の大きな一歩です。
きれいに並べなくていいから小さいモノは同じ場所に集める
このようにして分けたら、「今ぜったい着る」服からクローゼットに戻していきます。大事なのは「同じモノは同じ場所に固めて収納する」こと。
■ハンガー掛け衣類
色で分けるとか、長さ順に並べるとか、自分なりの使いやすさがある人はそれ優先でOK。特にこだわりがなければ、アウター・ジャケット・ワンピ・シャツ・ボトムス……のように、カテゴリーで固めておくと探しやすくなります。
ハンガーは、クリーニング店や100均のプラスチックハンガーで充分です。色や形が揃うと見た目も良くなって気持ちもいいけれど、買うのは片づけのしくみができた後で、本数や機能性を考慮してからのタイミングで充分です。また、「すべらない」「型崩れ防止」「多連」などの機能性ハンガーは、人によって合う合わないが大きく分かれるモノが多いので、最初は少量をお試しで導入して様子を見るのが失敗を避けるためにもおすすめです。
■引き出しにしまう衣類
気をつけたいのが、靴下やインナーなど「小さいモノ」たちの収納。整列させておくのも難しく、引き出しの中ですぐにごちゃ混ぜになってしまいます。「ここにあったのか・こんなにあったのか」に陥りやすいんですよねえ。
引き出しは、中をしっかり区切りましょう。1段を3~5つに区切って「入れるだけ」にすると、朝の身支度も、洗濯後の戻しもラクになります。
・靴下/ストッキング/タイツ/レッグウォーマーの段
・キャミ/インナー/下着の段
引き出しを区切るときは、厚手の紙袋が超優秀なのでおうちにあるもので試してみてください。取っ手を切り取ったら、引き出しの高さに合うように折り込むだけです。
迷う服はそっと「封印」する
絶対着る服だけでクローゼットの場所取りが終わったら、「着ないけど捨てるには迷う服」をしまっていきます。この作業をわたしは「封印」と言っています。
「封印」を始める前に必ず「できあがったクローゼット 」と「封印するつもりの衣類」をもう一度じっくり眺めてみてください。着ないと決めたものを、わざわざひと手間かけてしまっていくことになるので、本当にそうまでして残したい……? と自分に問いかけてみてほしいんですよね。
「これがクローゼットのベストな状態だ」と思えると、捨てたくないモノへの執着が薄れることもよくあります。もういいやと思えるものがあったらゴミ袋へ移動させましょう。
そして、残ったものを「封印」するのですが、鉄則は2つ。
・できるだけ密度を上げる
・邪魔にならない場所に逃す
衣類の圧縮袋や不織布のファスナーケースを使ってまとめていき、クローゼットの隅や枕棚のコーナー部分など「見えるけれど邪魔にならない場所」にしまいます。ちょい見えしている点が重要。完全に見えなくすると、あること自体を忘れてしまうからNGです。
中途半端なモノの置き場迷子を撲滅する
そのほか、置き場迷子としか言いようのないモノたちをクローゼット整理の現場ではよく目撃します。そういうもののしまい場所も決めておくと、ちょい置きが防ぎやすくなります。
■しまいたくない服
一度着たニット、脱いですぐのジャケットなどがこれですね。「あとでちゃんとしまうつもり……」で床に置いたり、チェストに乗せたり、イスにかけたりしていると、間違いなくそこが定位置のようになっていきます。
しまいたくない服専用の場所を作りましょう。大きめのカゴや、フックをクローゼット近くに足すだけでOK。その辺にちょい置きしなくて済むようになります。
■空のハンガー
空のハンガーをどこに置くのかも案外決まっていないものです。特に、クローゼットのバーがぎゅうぎゅうだと、ハンガーはそのままで、かかっている服だけをはがして着る人がとても多いですね。これをやっちゃうと、空のハンガーが衣類の間に大量に紛れ込んで、バーが埋まっていく悪循環の完成です。
バーからは下ろして、空のハンガー用のケースに入れていくのがおすすめです。
さて、今回は迷わない・つらくないクローゼット整理について解説しました。いかがでしたでしょうか? クローゼットの片づけは、家事がラクになるだけでなく「明日着る服を自由に選べる場所」になることでおしゃれを楽しみやすくなり、自分に自信も持てるようになるのでいいことづくめです。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
次回は、洗面台の整理収納について解説します。
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