ここまでの2回で、キッチンの「食材収納」と「食器収納」の解説をしてきました。
でも、キッチンにはまだまだいろんなモノがありますよね。鍋やフライパン、お玉やピーラーなどの調理器具、ブレンダーなどの調理家電。お弁当づくり/お菓子づくりに使うアイテムから、掃除道具に換気扇フィルターの替えまで。
クローゼットよりも広くて、納戸より細かく区切られた空間に、これだけ多種多様なアイテムが集まってるのだから、“バグ”が起こりやすいのも当然です。整理収納の現場でも、封の開いたスポンジセットがいくつも出てきて「こんなにあったのか……」と絶句したり、ブレンダーのオプション部品を見つけて「ああ~コレ探してたんです! 」と喜んだり。そういうのはどこのおうちでもあるあるです。
じゃあ、いったいどのように収納して、アイテムを管理すればいいのか? わたしが現場で実践しているのは、「モノをカタマリで捉えて、キッチンにマッピングしていく」方法です。
今回は、その方法を解説していきますね。
STEP1:同じカテゴリーでモノをカタマリにする
今回は食材と食器以外のすべてのアイテムで、片づけを見直していきます。まずは収納に詰まっているモノを出して、同じカテゴリーで粗い山を作っていきます。カテゴリーはざっとこんな感じでしょうか。
[1]調理器具
鍋/フライパン/ざる/ボウル/フライ返し/菜箸など
[2]調理家電
ブレンダー/フードプロセッサーなど
[3]保存用品
ラップ類/ビニール袋類など
[4]掃除・メンテナンス用品
掃除道具/洗剤/フィルター類など
[5]イベント系のモノ
お弁当作り関連/お菓子作り関連/来客用品など
特に[3][4][5]については、アイテムが小さかったり、「同じカテゴリー」という意識があまりなかったりして、あちこちにバラバラにしまわれていることが多い印象です。バラバラになればなるほど、時間が経つと覚えていられなくなってしまうんですね。なので、「掃除関連はここに集まれー! 」「お弁当関連はここだよー! 」と集合をかけるつもりで、山を作っていってください。
そうそう、キッチン収納には、あなたが思っている以上にたくさんのモノが詰まっていますから、キッチンの作業台や床だけでこの作業を済ませようとすると、すぐに足の踏み場がなくなってしまいます。分ける作業は、ダイニングテーブルや、必要ならリビングの床も使ってダイナミックに進めましょう。
棚の奥や、引き出しの底の方からは徐々に「うわぁ、こんなのあったんだ」「ああこれか、忘れてたわ」というモノが現れてくるかも知れませんが、5秒以内に「もう絶対使わない。処分! 」と思えるモノだけゴミ袋に入れて、あとはいったんキープでOK。この片づけの最初の段階で、モノひとつひとつに心を揺さぶられていたら体が持ちません。気をつけて。
STEP2:大きさを揃えてカタマリにする
カテゴリーの山ができたら、さらに、その中の小さなモノたちがバラけないようにまとめていきます。せっかくカテゴリーでまとまっていても、大きさがバラバラだと、収納したときに小さなモノが埋もれてしまいますから、そうならないようにカタマリ感を出すんですね。
イメージは「スイミー」です。伝わりますでしょうか……?
■ジッパー付き保存袋でカタマリに
わたしが整理収納の現場でよく使うのは、ジップロックや、IKEAのフリーザーバッグです。これから買う、という人はできるだけ大きめのサイズを選んでください。デザインがかわいいと、つい小さいタイプも欲しくなってしまうものですが、目的を間違えないように、くれぐれも気をつけてください。
まとめると便利なのは、例えばこういったモノたちです。
・スポンジ類/掃除用にストック
・弁当づくりのおかずカップ各種
・お菓子作りのクッキー型各種
・調理家電の、使っていないオプション部品一式
とにかく「ちまちま小さくまとめない」「ざっくり大きなカタマリにする」ことを心がけましょう。
■取っ手つきストッカーに入れてカタマリに
さらに、今の生活で出番の少ないカテゴリーは、それごとひとつのケースにまとめてカタマリにしていきます。カテゴリーの山を見渡して、どのくらいの頻度で使うモノたちか考えてみてください。判断の基準は「今使う(3カ月以内)」「使うけど今じゃない(1年以内)」。「今じゃない」に分類されがちなのは、イベントもののこういったアイテムたちです。
・お弁当づくり一式
・お菓子作り一式
・使い捨て食器一式
・来客用品一式
「使うときはこのケース1個出せばOK」という状態にしたいので、収納ケースは大きめで、取り出しやすいように取っ手がついているものが良いのですが、もうひとつ意外に理解されていない重要なポイントがあります。それは、「中身が見えること」。半透明のタイプがあるなら断然そちらがオススメです。
動きのない収納ケースは、数カ月もすればほとんどの人が「何を入れてたんだっけ? 」状態になります。たとえ「使い捨て食器」とラベリングしていても「あの中に紙コップはあったっけ……? 」と記憶も曖昧で、「ないと思って買ってきたら、実は新品があった」みたいなことが起こりかねないのです。半透明で中身がなんとなく見えていれば、そういったロスは防ぎやすくなります。
もしもこれから買うなら、ニトリの吊り戸棚ストッカーがオススメです。
STEP3:使う場所とカテゴリーをマッピングする
さて、こうしてカテゴリー・大きさがいい感じのカタマリになったら、そのカタマリ感をキープしながら収納していきます。リバウンドさせないために大事なのは、「使う場所」と「しまう場所」をできるだけ近づけること。日常的に使うモノほど、そこが大事です。
例を挙げてみましょう。
●火のまわり(コンロの近く)…鍋/フライパン
●水のまわり(シンクの近く)…ざる/ボウル、掃除道具、ラップ類/ビニール袋類
●電気のまわり(コンセントの近く)…ブレンダー/フードプロセッサー
電気のまわりで使うモノは、「取り出す→コードを繋ぐ→セットする」の準備自体が手間なので、どんなにいい場所にしまっても、出すのが面倒で次第に使わなくなる人が多い印象です。使うモノは常時出しておく、そうでないモノはしまっておく、とメリハリをはっきりつけるのがいいかも知れません。
上に挙げたのは、どこのおうちでも使う場所がはっきりしているカテゴリーのモノです。残りのカテゴリーは、あなたのおうちのキッチンの形状や大きさに合わせて、場所を決めていってくださいね。
フライ返しや菜箸、ピーラー、泡立て器などの「調理器具」は火のまわり、水のまわりで使うものが混じっているので、どちらからもアクセスしやすい場所がいいでしょう。
また「メンテナンス用品」にはいろいろなモノが含まれますが、使用頻度が高いものに合わせる方が上手くいきます。たとえば、レンジフードフィルターやポット洗浄剤、揚げ油凝固剤などは使う頻度が低いので、毎日のように取り替える排水口ネットを優先して水のまわりに収納する、というように。
なお「今じゃない」カテゴリーは、カタマリにさえなっていれば、出すときにひと手間かかっても大丈夫なので、吊り戸棚の上の方に入れておけばOKです。
今回はキッチン全体の収納マップの描き方を解説してみました。ひとつひとつのアイテムを覚えていなくても、カタマリ感さえあれば「あるならあそこ、そこになければない」と判断が簡単にできますし、使う場所としまう場所が重なってさえいれば、一度出したモノを戻す作業も、想像以上にラクなものです。
ボリュームのある作業ですが、道筋さえ見えていれば必ずうまくいきます。この年末、是非チャレンジしてみてください!
次回はリビングのお片づけについて解説します。
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