キッチンは、年末にすっきりさせたい筆頭の場所ですよね。どうせやるなら、掃除ついでにモノの整理も進めたいもの。キッチンで扱うアイテムは「食材」「食器」「調理道具その他」、大きくこの3種類に分かれますが、やるなら断然、食材から始めるのがおすすめです。なぜかというと、モノの使う使わないの判断がシンプルだから。

  • リバウンドしない食材整理の4つのポイント

「消費期限」「賞味期限」という分かりやすい目安があるので、「5年後に使うかもしれないから置いておきたい……」みたいな迷いの幅が圧倒的に少ないですよね。

でも期限切れ食材をやっつけた後、そのままきれいにしまって、それっきり結局使わないまま次の年末を迎え、期限が切れて……と、毎年同じことを繰り返しているならそれは残念過ぎます。食材は“使ってナンボ”のアイテム。きれいに収納したところがゴールになってはいけません。「出して、使って、なくなったら補充して……の循環がスムーズに続く」ように改善してみませんか?

今回は、わたしが整理収納の現場で実践している食材の片づけ方法を紹介します。

ポイント1:同時進行していいこととダメなことを知る

さあ、では始めていきましょう。

[1]すべての食材を一度収納の外に出す
[2]出した先で「同じカテゴリーのモノ」の山を作る
[3]賞味期限を確認し、処分するものを抜く

まず[1]と[2]を同時進行で始めます。収納には、想像以上にたくさんの食材が、想像以上にでたらめに詰まっています。使いかけの素麺がいくつもいくつも出てくるとか、ざらです。

なので、出しながらカテゴリーの山を作っていきましょう。「同じモノ集まれ~! 」の号令をかけるのがすごく大事です。

カテゴリーは以下に述べますが、ざっと10個程度はありますから、山と山が混ざらないように、広めのスペースを確保してください。ダイニングテーブルや、リビングの床を使ってもいいかもしれません。床に食材を置くのに抵抗を感じる方は、シートなどを敷きましょう。

<カテゴリーの例>
・乾麺:パスタ、マカロニ、素麺、春雨など
・乾物(大):干し椎茸、焼き海苔、花かつおなど
・乾物(小):鷹の爪、すりごま、青のり、その他スパイスのパックなど
・粉類:小麦粉、片栗粉、パン粉、お好み焼き粉、ホットケーキミックスなど
・砂糖&塩:おみやげのミニパックなども含む
・だし系:コンソメ、鶏ガラスープの素、和風だし顆粒、だしパックなど
・味つけ系(大):カレールー、レトルトパックの調味ソース
・缶詰&瓶詰:各種
・調味料ストック:未使用のドレッシング、ポン酢、マヨネーズ、ケチャップなど
・個食系:レトルトカレー、パスタソース、パックごはん、カップ麺、即席めん

次に、同じ山に集まった食材ごとに「場所取り」をしていきます。もしも自分なりのカテゴリー分けの基準があるなら、どうぞそちらを優先してください。私が以前にサポートした方は「中華、イタリアン、和食」など料理のジャンルでカテゴリー分けしていました。

気をつけてほしいのは、「[2]カテゴリーの山を作る」と「[3]期限切れ食品を抜き出す」を同時進行させないこと。片づけに慣れていない方が2つの判断を同時にしようとすると、作業のスピードが落ちたり、気が散ったりしやすくなります。

いいですか、同時進行はめんどくさいですから、厳禁です。すべての食材をカテゴリーの山に分けた後で、賞味期限をチェックしてください。作業の出鼻をくじかれないためにとても大事なポイントです。

ポイント2:食材収納は「飛び地」を作ってはいけない

賞味期限のチェックまで終わったら、戻していきます。ここで思い出してほしいのは「今回、賞味期限が怪しかった食材はどういう状態で収納されていたか? 」ということ。

まず、「別の場所に入れたのを忘れていた」というのがあるでしょう。かさばるカップ麺を家族が次々に買ってきて、収まらなくなると上の/下の/隣の棚に入れてしまう。ふるさと納税で届いた食品を、取り急ぎ箱ごと納戸に入れてしまう。そして、入れた本人が忘れてしまう……みたいなケースですね。

あちこちにしまったものを覚えておいて、管理するのは相当めんどくさいもの。そんなふうに食材の収納に飛び地ができていくのは、本来の置き場所がぎちぎちだからです。今後のために、食材管理に充分なキャパを確保しましょう。

「今のスペースじゃ足りない」という場合は、その隣/上の引き出し、棚まで食材置き場を広げてください。「使う目的がはっきりしないのに、なんとなくしまっているモノ」がキッチンにはたくさん眠っていますよね。

溜まりに溜まった割り箸やプラスプーン、全然使っていないブレンダーなどの調理家電……。この機会にそれらを見直して、処分したり、まとめて別の場所に移動させたりすれば、スペースは捻り出せるはずです。

今は、気合いを入れて期限切れ食材を抜いたばかりで、ご家庭によってはイレギュラーにモノが少ない状態です。それが今後の標準だと言えるなら良いですが、そうでないなら、今後必要だと思うキャパよりも、さらにゆとりを持たせたくらいのスペースを確保してください

ポイント3:パッケージの大きさを揃える

いくらゆったり収納しても「小さいパッケージが埋もれる」のは避けられません。

とある整理収納の現場では、片栗粉のパッケージが何個も出てきました。「片栗粉ってね、そういうものなんですよ」依頼者さまにあっけらかんとそう言われて、思わずクスッと笑ってしまいました。でもおっしゃる通りです。最初は大丈夫でも、使っていくうちにどんどん袋が小さくなっていくので、見えなくなってしまいますよね。

埋もれさせないためにできることは2つあります。

■大きさで収納場所を分ける
・乾物(小):鷹の爪、すりごま、青のり、その他スパイスのパックなど
・だし系:コンソメ、鶏ガラスープの素、和風だし顆粒、だしパックなど
これらの元々小さなパッケージは、ほかと収納場所を分けて「浅めの引き出し」「低めのケース」などにまとめると埋もれません。

■「カタマリ感」を出して目立たせる
・粉類:小麦粉、片栗粉、パン粉、お好み焼き粉、ホットケーキミックスなど
・砂糖&塩:おみやげのミニパックなど含む
これらの、使っていくうちに大きさが変わるパッケージは、大きめのジッパー付き保存袋などに使いかけのモノをまとめて、「大きなカタマリ」にしておくと埋もれにくくなります。

ポイント4:収納場所によって余白を使い分ける

ここまでが、「収納に収める話」。でも今回目指したいのは「循環がスムーズに続くしくみ」を作ることですから、「一度出したモノを戻す」「買い足したモノをしまう」作業のめんどくささをいかに削り取るかも考えましょう。

  • 収納場所によって余白を使い分ける

引き出しも棚も、カギとなるのは「高さの活かし方と余白の使い方」にあります。

■引き出し…引き出しの高さいっぱいまでケースで区切る

引き出しをケースで区切ること自体はよく知られていますが、深い引き出しに対してケースが小さすぎて、仕切りの意味がなくなっているのもよく見かけます。食材がケースの上をまたいで乗っかっているような感じですね。

できるだけ余白を設けず、引き出しの高さ(深さ)いっぱいまで区切ってくれるケースを選びましょう。放り込むだけできちんとモノが分かれてくれるのでラクです。整理収納の現場では、A4サイズの書類ケースをよく使いますね。

■棚…棚の高さの半分程度にケースの高さがくるように置く

棚の場合は逆です。高さいっぱいのケースを入れてしまうと、中が見えませんし、ケースをいちいち引き出さないと食材も出し入れできません。「目線」と「出し入れの手」が入る余白をちゃんと作ってあげてください。

棚の高さの半分程度のケースを探すか、ケースの高さの倍になるよう棚板を調整するか。どちらでもOKです。入れる食材の量で決めるのが良いでしょう

この、「出し入れの“ほんのひと手間”」が、リバウンドするかしないかを大きく左右します。私が見てきた多くのご家庭でも、ここの課題を解消したことで「すごく使いやすい……! 」と言われるキッチンに様変わりしています。試してみる価値は大きいはずです。

さて、今回はキッチンの食材整理についての解説でした。次回は、食器の収納についてのメソッドをお伝えします。

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