結婚生活をはじめると2人で一緒に過ごす時間が増え、これまで見えなかったパートナーのがっかりする一面を知ることも。そこで険悪な雰囲気になり、気付けばケンカばかり……というのは避けたいところですよね。

ですが、そもそも険悪な関係に陥る前に、夫婦の危険信号を感知することはできるのでしょうか。今回は夫婦の別れにつながるかもしれない⁉ 危険な行動や特徴について堀田先生に伺います。

■価値観が合い過ぎる2人は危ない!?

趣味や特技、好きなもの、判断基準が近しい夫婦はいるものです。もちろんそれは悪いことではないですが、価値観などすべてぴったり合い過ぎているというのは少し危険かもしれません。

心理学にはゲインロス効果というものが存在します。家庭では優しく誠実、職場でも信頼されているパートナーに実は裏の顔があった……なんてドラマのベタなシーンがありますよね。「悪いところなんて1つもないと思っていたら、実際は極悪人だった」という、衝撃事実。これはベタすぎる例ですが、プラスからマイナスの印象に変わる振れ幅が大きいほど、他者に与える影響が大きくなるというのがゲインロス効果です。

この効果のように「私たちは価値観がまさに一緒で気が合います!」という夫婦ほど、わずかなズレが生じたときのがっかり感やインパクトは大きいもの。「考え方も好き嫌いも同じ」と安心している2人は、注意が必要かもしれません。

ちなみに、夫婦関係においては常に価値観が合っている、喧嘩をしないなど、良いことばかり経験するよりも、衝突など辛いことも経験するのがおすすめです。「ホールネス」と言う概念は、良いことも辛いことも経験し、多様な感情を持ち合わせる人ほど、幸福度が高いという研究結果に裏付けされた考え方です。

ネガティブな感情や事象は必ずしもマイナス面だけをもたらすものではありません。辛いことや挫折があるからこそ、幸せを感じることや成功つかむことができます。

夫婦においても同様で、良いことも悪いことも受け入れていくことが大切です。第3回でもお伝えしたように、もしその過程で痛みを伴ったとしても、「手を繋ぐ」「ハグをする」ことで、その痛みは緩和することができるのですから。

■「〇〇して」ばかり言っていない? 人間は自由を奪われるのが大嫌い

続いては、伝え方についてみていきましょう。夫婦であれば、意見の違いから口論になることもあるはずです。ですが、パートナーに対して「〇〇して」「〇〇しなさい」といった上からな物の言い方は危険です。

なぜなら、人間には自分の自由を奪われることに反抗的になる「自由欲求」があるからです。幼いころ「宿題をやりなさい」と言われてやる気を失ってしまった、という経験が一度はあるでしょう。それがいい例です。

特に男性はその自由欲求が強いと言われているので、パートナーから「〇〇してよ」と言われることに抵抗感をもってしまうことが多いのです。やってほしいことや、改善してほしいことがある時は、自分の意見は伝えつつも、相手の意見を尊重しながらコミュニケーションをとりましょう。この会話のコツなどは、第1回でもお話ししてますのでぜひ参考にしてみてください。

■夫婦ゲンカ対処方法で10年後の離婚率がわかる?

また、離婚の危険性については複数の研究がありますが、ラズバルトはカップル(夫婦)間のケンカにおける行動分析の研究を行い、その行動で10年後の離婚率がわかると明らかにしています。

ケンカで取る行動は「別れ(退却)」「無視」「対話」「待つ(期待)」の4つに分かれており、ラズバルトは「別れ・無視」は破壊的な行動、「対話・待つ」は建設的な対処行動としています。

夫婦関係を継続していくためには、当然ながら後者の建設的な行動を必要とします。建設的な行動は相手に気づきを与えることができ、関係の維持につながるそうです。

また、円満な関係を維持するために最も大切なのは「話し合うこと」です。自己主張や相手を否定することばかりせず、きちんと相手の意見に耳を傾けましょう。それに加え、きちんと相手の話を聞いているという姿勢を意識することも心がけてみてください。

"夫婦だから分かっているだろう"という甘えから返事をおろそかにせず、「気のゆるみは関係のゆるみ」と心得て、コミュニケーションを面倒くさがらないことが大切ですよ。