似たもの同士はうまくいくのか、そうでないのか。恋愛関係だったころとは異なり、結婚して一緒に暮らし始めると、別の一面が見え「価値観の違い」を感じることもあるはずです。その違いは夫婦にとってプラス、マイナスどちらなのでしょうか。今回は、相容れない価値観の夫婦が円滑に暮らす方法について堀田秀吾氏に伺います。
■似たもの同士じゃない方が夫婦はうまくいく⁉
ノースウェスタン大学の心理学者であるウィンチは、婚姻生活が長く続いているカップルほど、補い合う関係、つまり「相補性」が成り立っているという研究結果を発表しています。
付き合うきっかけは、趣味や仕事といった共通項が多数あり、意気投合することで盛り上がるかもしれません。ですが、結婚生活ではむしろその逆。似たもの夫婦よりも、そうでない相補関係の方が長続きすることが明らかになっています。
同じ要素ばかりを持つ似たもの同士は、ぶつかり合ってしまうことから、互いを補う凹凸の関係であることが「長続きする理想の夫婦」とされています。
極端な例で言うと、夫婦のどちらか一方は働いて稼ぐことが得意、もう一方は家事全般が得意といったような関係です。もし2人とも稼ぐことしかできなかったら、あるいは稼ぐことが不得手で家事が得意だったら、生活がうまくいきづらいものです。そのため、似たもの同士でない方が夫婦関係はうまくいく可能性が高いのです。
前回もお話ししましたが、夫婦はそれぞれ異なる環境で育ってきたのですから、意見や価値観が違うのは当たり前のこと。一緒に暮らしているとつい「相手も自分と同じような考え方をしている」という期待を抱いてしまいがちですが、それが間違いのもとなのです。
とはいえ、相補的な関係がいいとわかっていても、住まいや子どもなど、考え方の違いからぶつかってしまうこともあるでしょう。では、互いの意見が対立したときは、どうすればいいのかをみていきましょう。
■非難をした夫婦は離婚する? 批判をできるかどうかがポイント
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のラヴナーらの研究によれば、結婚したばかりの夫婦に議論をさせ、そこで相手の意見を受け入れずに衝突し、平行線をたどるだけの夫婦は10年後に離婚している確率が高いそうです。
ぶつかるのは決して悪くないのですが、「非難」と「批判」は違います。たとえば「あなたいつもそうなのよ」と、ミスや過ちを責めるのは「非難」です。一方、相手の言い分を受け入れ、精査をし、物事を判定・評価していくのは「批判」です。
批判的に物事をとらえ、異なる双方の意見をぶつけ合うことで真実は発見できるのです。まさに「裁判」がそうですね。異なる意見を持っていることは悪いことではなく、むしろよりよい結論を導き出すためには大切なことなのです。
■異なる意見は「新しい何か」を学ぶチャンス
そもそも「違い」というのは新しい視点を学ぶチャンスでもあります。自分の考えを押し付けるのではなく、互いの意見を"いいとこどり"していく方がメリットも多いはずです。
そのためには、まず「お互いを認め合う」ことがポイント。議論しているときに、まず相手をほめて受け入れてから、自分の意見を伝えましょう。基本的に人は認められたい生き物ですから、受け入れることでパートナーの承認欲求を満たすことができます。
最も避けなければいけないのは、頭ごなしに否定することです。夫婦でも相容れない部分はあって当然。むしろあった方が長続きするんだという心持ちでいれば、2人の関係はよりよい方向に向かっていくはずですよ。