屋外の公衆便所は暗く、汚く、あまりいい印象が無い人も多いかもしれない。
そんな公衆便所であるが、注意して見るとそこに楽しげなデザインが施されているケースに時々遭遇することはないだろうか。僕はひとりそれを「便所アート」と呼んでいる。
便所アートは抽象的なものが多く、パッと見ても意味は不明。しかし妙な趣の深さもあり、見ていると不思議とワクワクするもののひとつだ。
狭いながらも楽しい便所
台東区谷中で見つけた便所アートは家族を表現したものに見える。
男子便所側にお父さん、女子便所側にお母さん。お父さんの鼻とあごのラインをつなぐ線がアダルトグッズに見えた人は心が汚れている人である。
PC初心者の壁
こちらの便所アート、親切な気持ちで見てあげれば「木と鳥」だろうが、僕は不親切なのでマウスポインターの設定がやたらデカい人と、ポインターの軌道設定を長くしたせいで、残像が甚だしい人にしか見えないのである。
年月がたっても飽きられない普遍的なデザインとするためにこういう抽象性をわざと盛り込んでいるのかもしれない。
反逆のひれ
同じく杉並区の便所アートからもうひとつ。
これは知能が高くなった魚たちが魚群探知機を破壊してまわる未来を描いた絵だと思う。おごり高ぶった人類は魚類に反撃を食らうのだ。大変恐ろしい。抽象的だが教訓めいており、とてもアート性が高い作品である。僕はそう思う。あくまでも、僕が思うという話である。
その表現はさまざまだが、「子供の遊び場だから、殺風景になりがちな便所にだって彩りが欲しい」という、便所アートに託された大人の願いは真剣そのもの。
僕はこれからも便所アートを応援していきたい。
<著者プロフィール>
zukkini
1982年佐賀県生まれ。進学のため上京するも友達が全く出来ないことに絶望し、ネット上で日記を書き始めて15年。
現在は残飯系情報サイト「ハイエナズクラブ」を主催し、「オモコロ」のライターとしても活動中。
趣味は録画した「警察24時」を繰り返し観ること。