こんにちは。産業保健WEBメディア「サンポナビ」編集長の飯塚です。二度目の緊急事態宣言が出たことで、再び在宅勤務となった方も多いのではないでしょうか。通勤が無くなったことで「おうち時間」が長くなり、ついついお酒を飲み過ぎてしまっていませんか? 今だからこそ注意したい「アルコール依存症」についてQ&Aで解説します。

  • アルコール量が増えていませんか?

    アルコール量が増えていませんか?

Q : 「酒は百薬の長」はウソ!?

昔から「酒は百薬の長」とも言われ、少量の飲酒であれば健康にとっていい影響を与えるものだと考えられてきました。しかし、2018年、医学雑誌『LANCET』に衝撃的な論文が掲載されたのです。それは「少量の飲酒でも疾患リスクが発生する」というもの。そして「お酒を全く飲まないことが健康にとって最も良い」という結論でした。

最新の研究ではこのようなことが判明しているため「ちょっとくらいなら健康にいいから」という論法はもう使えない……? とも言えます。

Q : お酒をどれくらい飲んでいたら「アルコール依存症」なの?

お酒との付き合い方は人によってさまざまで「週末だけ350mlの缶ビールを1本飲む」という方もいれば「500mlのストロング系チューハイを毎日数本飲む」という方もいるでしょう。では、どれくらいお酒を飲んでいたらアルコール依存症なのでしょうか。

アルコール依存症と判断される基準のひとつには「家族・仕事・趣味など、これまで大切にしていたものよりも、はるかにお酒を優先させる状態」と言われています。いかがでしょう。思い当たる場面はありませんか?

Q : アルコール依存症の診断基準は?

もう少し具体的な基準についても確認しておきましょう。アルコール依存症には、診断ガイドラインというものがあり、項目の該当数や期間によって判断されます。「お酒はよく飲むけど、自分には関係ないや」と思っている方こそ、注意が必要です。

●アルコール依存症の診断ガイドライン(ICD-10)

過去1年間に以下の項目のうち3項目以上が同時に1カ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合

1.飲酒したいという強い欲望あるいは脅迫感
2.飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動をコントロールすることが困難
3.禁酒あるいは減酒したときの離脱・禁断症状
4.耐性の証拠(少ない酒量では酔えない状態になっていることなど)
5.飲酒が中心の生活。 お酒を飲んでいる時間が延長される
6.明らかに有害な結果が出ている、問題が発生しているにもかかわらず飲酒をする

出典 : 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」より一部改変

Q : アルコール依存症になると、仕事にどんな影響が出る?

アルコール依存症の恐ろしさは、仕事をはじめ日常生活を送ることが困難になってしまうことです。例えば、遅刻や欠勤が増えてしまうことや、注意力の低下により労災が発生してしまう危険性があるのです。

「飲まなきゃやってられない」という声も聞こえてきそうですが、多量の飲酒には仕事のストレスとも深い関わりがあるといわれています。つまり、ストレスにより飲酒量が増え、さらに仕事に支障が出る……といった負のループに陥ってしまうこともあるため、飲み過ぎには十分注意し、お酒以外のストレス発散法を探してみましょう。


飲み過ぎになってしまう原因が仕事のストレスであるならば、そのストレスの課題を解決しなければなりません。仕事が忙しすぎたり、人間関係に悩みがあったりする場合には、産業医などの専門スタッフに相談してみることをおすすめします。