よく「規則正しい生活をしましょう」と言われますが、“規則正しい生活”とは、どんな生活のことを言うのでしょうか? そもそも、“規則正しい生活”とは何でしょうか? 企業で働く社員の方々のメンタルヘルスケアや保健指導をしている、現役の産業保健師と一緒に考えてみましょう。

自分自身の健康状態が最も整う生活、それが「規則正しい生活」

毎日社員の方と面談をしていますが、筆者は「その方が最も健康でいられる生活」のことを「規則正しい生活」と言うことが多いです。世の中でも「規則正しい生活をしましょう」と言う時の背景として、「健康になれるような生活をしましょう」という心がありますよね。

健康を保持・増進するための生活、それが“規則正しい生活”です。

「規則正しい生活」は、人それぞれ

「規則正しい生活」に正解はありません。それはそうですよね、夜勤を交えたシフト勤務の方に対して、「毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きましょう」とお伝えするのは不可能なことです。

社会人は仕事を中心に自分の生活が構成されています。その人の仕事の勤務時間・勤務形態に合わせた“規則正しい生活”を見つけることが大切だと思います。ただし、ある程度の正解はあると思うので、ポイントを絞って説明します。

「規則正しい生活」のポイント

先ほど述べたように、仕事の形態によっては取り組めないこともあります。自分の生活に取り入れられることから始めてみましょう。

・毎日同じ時間に起き、朝日を浴びる

自分にとっての睡眠サイクルを確立させることが、まず健康への第一歩です。人間の身体は、朝日を浴びてから約15時間後(7時に朝日を浴びたら22時くらい)に眠くなるようできています。夜勤のある方は難しいですが、まず睡眠の仕組みを理解し、疲労が取れる睡眠を見つけましょう。

・朝食(起きてからの食事)をしっかりと食べる

朝食を食べることで、脳や身体にエネルギーが補充されます。朝食をしっかりと食べられるよう、夕飯は控えめにするなど、調整をしましょう。

・お酒は適量(アルコール20g程度/500mlの缶ビール1本程度)を守る

これはもう体験している方が多いと思いますが、飲酒によって、睡眠のサイクルが崩れたり、睡眠の質の悪化に繋がります。次の日も普段と同じ時間に起床できるくらいの量であれば問題無いのですが、次の日に響くくらい飲んでしまう方は要注意です。

困った時には専門家に相談を

生活リズムが整わなくて困っている、寝ても寝た気が全然しない、など日頃から困っている方は、会社の保健師や産業医に相談しましょう。特に睡眠障害はうつ病などの疾患の可能性もあるため、早期に医療機関を受診しましょう。

働きながら「健康」を保つには

健康が注目される一方、日頃、産業保健師として面談をしていると、健康が贅沢品になりつつあると感じます。「仕事が忙しくて運動する時間がない」、「昼食を食べている時間もない」、「ちゃんとした食事を作る余裕もない」という声をたくさん聞きます。確かに、時間や心に余裕がなければ、自分の身体のことまで気が回らないでしょう。実際に筆者も、看護師の頃は自分の健康になど目を向けず、自分を癒やすことで精一杯でした。

労働者が健康であり、労働時間が整った職場では、間違いなく労働者ひとりひとりのパフォーマンスも高いです。まだまだ長時間労働がはびこる日本ですが、もっとワーク・ライフ・バランスという言葉が浸透し、健康経営を意識する企業が増えることを願います。