皆さんこんにちは。保健師の本田です。2022年も早いもので半分が過ぎましたね。禁煙週間もある6月は、タバコの害や禁煙方法のコツをご紹介します。
喫煙者に厳しい世の中になってきました……
昔は電車の中でさえタバコを吸っていた時代がありました。しかし、今となっては、会社も全面禁煙、レストランも全面禁煙など、タバコを吸える場所が徐々に減ってきています。 このような動きは日本に限定したものではありません。世界では「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に示されているように、受動喫煙の健康被害は明白なものとして、分煙ではなく全面禁煙化が進んでいるのです。このような全面禁煙の動きは、今後も加速していくと思われます。
タバコの害は肺だけじゃない?
保健師として面談をしていると、「タバコは肺に良くない」とご存じの方は多いです。ですが、実はタバコは肺だけではなく全身の病気に影響を及ぼす原因となります。例えば、「がん」については肺がんだけでなく食道がんや膀胱がんなど全身のほとんどの器官に悪影響を与えます。その他にも脳梗塞や心筋梗塞などの怖い病気のリスクにもなりますし、歯周病や糖尿病になりやすいリスクもあります。さらには認知症になる危険性も増加するという研究結果もあります。
実は怖い。加熱式タバコと電子タバコ
タバコは覚醒剤や大麻、アルコールよりも依存性が強いといわれており、紙巻タバコだけでなく加熱式タバコや電子タバコ(ニコチンを含むもの)も同様に依存性が強いといわれています。
●加熱式タバコ(IQOS、glo、Ploom TECH等)
葉タバコを燃やさず、加熱してニコチンを染み出させて使用するタバコです。「有害成分の量が低減した」と宣伝していますが、紙巻タバコから発生する有害成分の量は多すぎるため、低減したとしても十分に危険であり、有害性が少ないとはいえません。
さらに「煙が少ないから周囲の人は安心」と思っている方も多いかと思いますが、間違いです。受動喫煙は吸った人から吐き出される煙(呼出煙)によっても十分に生じます。
●電子タバコ
カートリッジ内の液体を気化させ、蒸気にして使用するもので、ニコチンを含まず葉タバコも使用しないタバコです。ただし、「ニコチンを含まないので安全」ではありません。ニコチン以外にホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等多くの有害物質が発生していることが確認されています。さらにニコチンを含む電子タバコの違法売買、薬物混入、乳幼児による誤飲事故など健康面以外にも危険はあふれています。
加熱式タバコや電子タバコは以上のような危険が想定されていますので、タイやシンガポール、ブラジルなどでは製造、販売、輸入を禁止している国もあります。
悪いのはわかってる。でもやめられない……
喫煙者の方の多くは、タバコが体に悪いのはわかっているし、やめたいと一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
しかし、禁煙行動に至らないのは、なぜでしょう。それは「ニコチン」という依存性物質が多く含まれているからです。ニコチンはタバコの依存性を高める力が非常に強く、耐性もできやすいためもっと吸いたいという気持ちを高めてしまうという影響を及ぼします。さらに、ニコチンは脳で快感を与えるような物質を放出させるため、喫煙者は快感を得ようとタバコを吸い続けてしまうのです。
喫煙者の大半は「タバコ使用障害」という病気にかかってしまっている状況であると示唆されていますので、禁煙は大きな決意や治療が必要なほど困難なものなのです。
禁煙で大切なことは「やめる決意」と「タバコを一気にやめること」
禁煙は”スタート時”が最も重要な時期となります。スタート時に何となく禁煙を始めてしまうと長続きはしなく途中であきらめてしまうケースを多く見ます。なので、スタート時に「タバコは自分や周囲の人にとって危険なもの」や「タバコで子供に悪影響を与えてしまう」、「今すぐ禁煙しないと危険」などタバコの危険性を自ら理解し、自ら禁煙を決意することが何よりも大切です。
次に大切なことはタバコを一気にやめることです。タバコを少しずつ減らそうとすると、深く最後まで吸うようになったり、一本でも吸えばニコチンへの渇望感が起こってしまい、結局は禁煙に失敗してしまいます。また、加熱式タバコ、電子式タバコを使用する禁煙方法はむしろ禁煙の妨げになります。加熱式タバコにおいては紙巻タバコよりもニコチンの血中濃度が上昇する可能性が指摘されています。よって、禁煙開始後は全ての種類のタバコを一切吸わないことが成功するコツとなります。
禁煙のコツは他にも「禁煙外来を活用」や「ニコチンパッチやニコチンガムを使用すること」はもちろん、「灰皿やライターはすべて捨てる」、「喫煙所は通らない」など環境調整をすること、「吸いたくなったらガムや飴、昆布など食べる」など代替行動を実施すること、「家族に応援してもらう」、「周りに喫煙者がいたら一緒に禁煙する」など周囲の人の力を借りることも重要となります。
禁煙週間のある6月は、各自治体でたばこ対策の推進を図っています。あなたもこの機会に是非禁煙に取り組んでみませんか?