マイナビは26日、「2015年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」の結果を発表しました。同調査は8月1日~29日の期間に実施、国内企業2,195社より回答を得たものです。本連載では、同調査の結果を元に企業の2015年卒採用状況などを紹介します。

採用充足率は過去10年で最低

各社は2015年卒の採用に向けて、全体で前年度比14.3%増の採用数を目指して募集を行ってきました。しかしながら、現時点での内定者数は、前年度入社実績数にも届かない状況であることが明らかになっています。

採用充足率は新卒全体で83.0%と、過去10年で最低に。業界別では「小売」「サービス・インフラ」「建設業」の充足率が8割を切っており、年度末までの募集人数到達は厳しいと見通されています。

採用充足率

内定者への満足度では、「質・量ともに満足」の割合は前年度比4.4ポイント減の33.0%。この数字は、リーマンショック以前の採用意欲が高かった時期(2006年卒~2009年卒頃)に匹敵するものです。

内定者への満足度

満足度を業界別に見ると、「マスコミ」は54.9%、「建設業以外の製造業」は42.0%が「質・量ともに満足」と回答しています。一方「建設業」「小売」は2割未満と、業界によって満足度に大きく差がつく結果となりました。

予定通り採用活動を終えられた企業は3割

採用活動進捗状況について、調査時点で「採用活動を継続する」と回答した割合は51.1%と半数を超えています。また採用活動を終了する時期も、2月の採用予定調査の終了見込み時期より遅くなる傾向に。予定通りに採用活動を終えられない企業が多く、特に「建設業」「サービス・インフラ」業界では遅くまで採用活動を継続する割合が高まっています。

採用活動を継続する企業の割り合い

採用活動が長引く原因として考えられるのが、「選考途中の辞退率」「内々定後の辞退率」の上昇です。各社が前年度を越える採用数を目指す中で、学生側の辞退率が前年度より高くなっています。

全体で見ると、選考途中の辞退率が「前年より高かった」と回答した企業は33.9%。内々定後の辞退率も「前年より高かった」企業は34.8%(前年28.2%)となりました。

選考途中の辞退率

内々定後の辞退率

保護者の反対で内定を

応募学生の保護者について聞いたところ、ここ1年の間で「保護者の反対で内定を辞退された」ことのある企業が16.5%に上ることが明らかになりました。対策として内定者の保護者宛てに電話や資料送付などのフォローをする企業も増加しているようです。

応募学生の保護者について、この1年以内にあったこと

従業員規模別に見ると、採用数が多い「従業員数5,000人以上の企業」の36.2%、業界別では、「小売」「サービス・インフラ」業界の2割以上が同上の経験があると回答しています。

また、「保護者から採用担当宛てに電話があった」という企業も。業界別では、「官公庁・公社・団体」(31.9%)、「金融」(20.8%)で高い数字を出しています。「内定式や入社式に参加した保護者がいた」という企業は全体の1.5%にとどまりました。

各社が採用増を目指した結果、充足率は過去10年で最低を記録した本年度。学生の複数内定獲得者は4割に上り、辞退率も上昇しました。2015年卒の採用活動は、企業が「選考・内定辞退をいかに引き止め、囲い込むか」に頭を悩まされた年であったと言えるかもしれません。